シャトー ラネッサン 2012
※リンク先はヴィンテージが異なります。
このワインは、お手頃ボルドーとしては品質を信頼しているシャトー・ラネッサンの品。前回は2012と対峙していて、割と気に入っていた様子。今回はどうなのか。
グラスに注ぐと、予想以上に黒ずんで不透明な、赤茶色の液体。前回は透明感があったとあるけど、今回はまったく不透明。香りは、こんもりとチョコレート系のほっこりした香りが漂ってきて、そこに杉や炭のような木系統の香りを伴っている。ジャムは連想しないのに、グラスのなかがあまーいザラメのような甘い雰囲気を帯びているのはいい感じだ。
口に含むと、果実味などでがつんと殴ってくる感じでなく、するすると入ってくる感じ。口当たりがソフトで甘さ控えめ。ボルドーの赤ワインにしては薄口かもしれず、人によっては「水っぽい」などという人がいるかもだけど、自分はこういう薄口さは好きだ。それに果実味が「無い」わけでなく「穏やか」なのがこいつの特徴なので貧相という言葉は似合わない。このクラスのボルドーの赤ワインにあって欲しい、炭のようなフレーバーに落ち着いた飲み心地が備わっている。
ボルドーの赤ワイン、少なくともあまり高価ではなく極端に長熟ではないワインって、ブルゴーニュやローヌに比べて抑制的というか、飲んでいて気持ちがアガるワインよりも静かな気持ちになるワインが多い。それはそれでひとつの長所だと思うので、この路線でつくりつづけて欲しい。こんなところで新世界のワインやよその名醸地の真似をする必要なんてないと思う。
※翌日は、良くも悪くも果実味が強くなって、鉄っぽさを帯びるようにもなった。肉料理に合わせても行儀よく付き合ってくれている。それでも穏やかな飲み心地はまだあって、きついカベルネ・ボルドー系という感じではなかった。