北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2404】Galilee Galilaa Golan Heights Winery "Yarden" Chardonnay 2020

 
ゴランハイツワイナリー ヤルデン シャルドネ
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
このワインは、久しぶりのヤルデンシャルドネ、そのベースクラス。このヤルデンもインフレによってか、有名になりつつあるのか、値段が高くなりはじめてきた。このボトルも2000円台後半で手に入れたもの。それでもまだワインとしては信頼が持てるのでリピートしている。直近では、去年、2018年産と対峙している。今回は2020年産、コロナが来てからのワインだ。どうなっているんだろう。
 
まずコルクをぬくにあたって、これはくずコルク。DAIMってやつだろうか。抜栓した時に、クッキーのようなあまい香りがふわっとよぎった。グラスに注ぐと、レモン色よりは山吹色に近い、えらく堂々とした色調。こんなだったっけ? 香りは、クッキー系のものに、ちょっとフルーツポンチのような香りが混じっていて新世界風だ。
 
しかし口に運んでみると、やはりミネラルみがある。このワインの場合、そのミネラルは牡蠣貝や大理石をイメージさせるのでなく、石灰岩をイメージさせる。あるいはラムネか。そこにクッキーが、さらにバターが乗っかってリッチみがある。香りにもバターが乗っかって、コテコテとしている。ただ今回、ちょっと酸味が弱く、そのためワインのボディの大きさに対して腰がふらついているかもしれない。とはいえ、愛嬌の良いワインなのは間違いなく、おもてなし精神はさすが。
 
※翌日、エチエンヌ・ソゼのピュリニーモンラッシェ一級シャン・ガンとの比較のために飲んでみた。シャンガンの後に持ってくると、このワインのほうが集中力が散漫で果実味にえぐみが伴い、バニラの香りがわざとらしすぎると感じてしまう。そして今回のこのボトルにある、新世界風の雰囲気がより目立ってしまう。とはいえ、これは上位のブルゴーニュの赤白と3000円前後のコスパ良好のシャルドネピノ・ノワールを比較した時に起こりがちな現象で、単純にワインの格の違い、役割や方向性の違い、価格の違いを反映しているだけのことで、このワインの価値を棄損するものじゃない。逆に、おもてなし精神、捉えやすい個性といった点では、どこまでも奥ゆかしいシャン・ガンと違ってこちらはあけっぴろげでポジティブだ。
 
※三日目、引き続きシャン・ガンと比較しながら、こちらのほうが粗く重たいのだけど、なんかこれはこれでいいような気がしてきた。バターやクッキーが転じたのか、後味に、栗羊羹みたいな甘みが宿るようになってきたのだ。今まで、このワインはゴランハイツワイナリーの白ワインのなかでは軽量級の趣があったけれども、今回は(軽量級のきわみであるシャン・ガンとの比較のせいもあるかもだけど)重量級のシャルドネの趣があり、こってりとした印象を強く受けた。他方でそこらの新世界系シャルドネに比べると、石灰岩の風味とバター・クッキー・栗羊羹で差別化している。ぜんぜんいいと思う。