北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1882】Louis Latour "Ardeche" Chardonnay 2016

 
<ルイ・ラトゥール アルデッシュ シャルドネ 2016
 
 このワインは、ブルゴーニュ大手のルイ・ラトゥールが南仏で作っている量産型のシャルドネ。少し南仏風味のシャルドネとしては典型的なものだったと記憶している。まあ、悪いということはないでしょう。
 
 まず、グラスに注いでみると、意外にも黄金色をしている。若干、薄めとはいえ黄金色。このクラスの白ワインにしては、生意気なカラーをしている。ただ、若干気泡が混じっている。これは、シャルドネのつくりとしては減点する人がいるやつだ。自分はかまわないけれども。
 
 香りは、意外にも米糠系のフレーバーがぷーんとこみ上げてきて、ちょっとシャブリっぽい。でも南国フルーツというか、少しメロンっぽさを帯びているので純正シャブリとは少し趣が違う。南系のシャルドネらしさもあるっぽい。
 
 口をつけてみると、かなり軽い……ちょっとかったるいかもしれない……口当たり。酸味はしっかりしているけれども、南国フルーツ系、というか競争相手はチリ産のシャルドネとみた。シャブリのような北のシャルドネとは根本的に違う。それでもフランス産の面目躍如というか、米糠っぽさがあり、酸が果実味に負けるような堕落はみられない。円満無欠のシャルドネではないけれども、南のシャルドネらしさと、ヨーロッパ産らしい引き締まったところがあって、これはこれで理解のしどころがある。
 
 ただし、飲み進めると、このワイン、ほんの僅かに生臭さがある。今回、このワインはかなり安い価格で売られていたものを買ったのだけど、ひょっとしたらそのせいかもしれない。それともこのボトルがたまたまそうだったのか。もともと安めのワインがもっと安かったので文句を言うのはお門違いではある。
 
 ※翌日は、メロンや植物の茎っぽい風味が目立つようになり、より南仏のシャルドネとして典型的な雰囲気になってしまった。初日のほうが良かったと思う。
 

【1881】Domaine Michel Guillard Gevrey Chambertin Vieilles Vignes La Platiere 2012

 
ドメーヌ・ミッシェル・ギーヤール ジュヴレ・シャンベルタン ラ・プラティエール [2012]
 
 このワインは、前回、なかなか良い仕上がりだった小さな作り手のジュヴレ・シャンベルタン。
 
 まず見た目。赤茶色っぽい見た目で、コート・ド・ニュイらしいやつ。香りは……すんごく梅っぽい。酸っぱそうだぞこれは。その奥から、木工所のような匂いと、ちょっとマジックインキっぽい香りが混じっている。前回はこんな感じじゃなかったような気がする。しっかり確認してみるとチョコレートっぽい匂いや腐った切り株みたいな匂いもあり、村名格としてはそれなり揃っているものは揃っている。それらが混じって、ときどき高いお香みたいなよくできた塩梅になることもある。
 
 口をつけてみると、まずまず軽いフルーツっぽい口当たりで、その後ろから梅みたいなジューシー感がこみあげてきた。飲み始めの段階では、木っぽい雰囲気がやや強く出ていてきついと感じる部分もある。前回はこれらが合わさって低音をなしたような飲み心地と評していたけれども、そういう具合に重心が低くなっていない感じがする。他方で香りは次第にパワフルになってきて、チョコレートと梅と腐った切り株系オーガニックが合わさって見栄え(香り栄え?)のする風采になってきた。前回は味が良かったというけど、今回は香りのほうが良いと感じる。このあたり、ボトル差なのか体調の差なのか。
 
 ※二日目。香りがますます立派なものになってきた。森の下草・腐った切り株系の香りと梅系線香みたいな香りが溶け合って、桐箱みたいな香りも合わさり、ブルゴーニュ赤、どこかの一級といった雰囲気。ただ、味のほうはちょっとタンニンがばさついていてまだまだ若そう&梅酸っぱさが突出している感はある。かつおだしみたいな、ブルゴーニュ赤ならではの旨さもあるにはあるんだけど、味のほうはやや雑というか円満とはいかないところがある。二日目のこれをもしブラインドで「どこのブルゴーニュ赤かあててみろ」とか問われたらきっと困っていたと思う。

【1880】Santero Pinot Chardonnay Spumante (N.V.)

サンテロ ピノ シャルドネ スプマンテ
 
 夏向けのスパークリングワインとして、安いものが欲しくなってこれを急きょ調達してきた。イタリアの安スプマンテとしてはよく知られているもの。
 
 まず香りチェック。なんと、ちょっと生姜湯みたいな甘い匂いが漂っていてモスカート・ダスティやアスティのよう。間違って「天使のアスティ」を買ってしまったのでは?と心配になるほど。
 
 で、口に運ぶと爽やかな酸味、八朔みたいなドライなシトラスの風味が口のなかに拡がる。このワインはシャルドネスプマンテとあるけれども、シャンパンでいうブラン・ド・ブランみたいな路線とは全く違っていて、ライトな飲み口、ドライな風味ときている。本当にこれシャルドネでつくられているの? 他の品種でつくられたイタリア産スプマンテに近い出来映えだと思う。いや、だからといって悪いはずもなく、夏にはこういうスパークリングワインがありがたい。
 
 

【1879】Saint Cosme Little Basket Press White (N.V.)

 
サンコム リトルバスケット NV
 
 今回選んだサンコムのリトルバスケットの白ワインは、夏にざっくり飲みたい&香りのしっかりした白ワインが欲しい時向けの品。で、カレンダーを確かめると去年も6月下旬に飲んでいる。自分の嗜好がよくわかるというか、まあこの季節に自分が選びそうなワインではある。
 
 まず、グラスに注いで色をチェック。あまり濃くない、というか典型的な白ワイン色というか、世間でイメージされる白ワインの薄い色合いそのもの。香りは、黄桃と白桃、それからピーマンとキュウリが香り立つ。この地域の白ワインとしてそんなにおかしなやつとも思えない。前回に比べると、肉感的なワインだと感じる。
 
 口に運んでみると、ちょっと苦みのある、けれども白ワインにしてはえらくコクがあるというか、口当たりがしっかりしている。酸味がしっかりしているけれども、それ以上に口当たりがしっかりしている。前回も「肉付きがしっかりしている」と記しているけれども、いや白ワインとしては異例のコクの強さだ。飲み進めると、ネギやニラのような、力強い植物の気配が宿ってきた。典型的なシャルドネとはぜんぜん違うタイプだけど、やはり、このワインは面白い。価格を考えると出色の出来ではないかと思う。
 
 ※二日目も、ネギやニラの風味が強く、口当たりしっかり。やっぱり価格帯以上のいいワインだと思う。
 

【1878】Terre Siciliane "Tonno" Syrah 2018

トンノ ロッソ 2017 マーレ マンニュ
 
 このワインはシチリア産の赤ワイン、シラーでつくられている。ボトルには名前のとおりマグロの絵が描かれていて、いかにもイタリアワインという雰囲気を漂わせている。ちなみにワインには[indicazione georgafica tipica]IGTという記述があるので伝統的なワインというわけではなさそう、そりゃシラーみたいな国際品種はシチリアじゃあ昔から作っていないでしょう。
 
 まず見た目。濃いワインレッドなのだけど、光をあてるとあちら側が輝くように見通せるので、実はそんなに暗いわけではなさそう。香りはマッキー極太みたいな匂いがメインで、そこにヒノキ系入浴剤みたいなきつい植物系の香りがする。
 
 口をつけると、タンニンがぶわーーーーーっと来て渋い。ワインに慣れていてすら、これはちょっとびっくりするほどタンニンがきつい。ラベルで買っちゃった赤ワイン初心者には辛そう。果実味は非常に深くて豊か、タンニンもあわさってふかふかのワインだと感じる。苦みを凌駕する甘みのある果実味は、ジャムというよりジャム手前のように流動的で、するすると身体に入ってくる素直さがある。まったく期待しないであけてみたのだけど、予想外にいけていた。タンニンのふさふさ感さえ気にならないならおすすめ。ちょっと甘みが強いという人は、いるかもしれない。
 
 ※翌日は梅っぽさがいくらか強まり、それでいて飲み心地は穏やか。タンニンの濃さ以外の点では人当たりの良いワインじゃないかと思う。
 

【1877】Golan Heights Winery Yarden "Katzrin" Chardonnay 2016

 
【ゴラン ハイツ ワイナリー】 ヤルデン カツリン シャルドネ [2017] 
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 このワインは、いつもお世話になっているゴランハイツワイナリーのシャルドネ、その最高峰ラインのカツリン。さてさてどんなワインでしょうか。
 
 まず、グラスに注ぐと色は意外に薄目の黄色。黄金色とか緑色がかったとかでなく、ブルゴーニュでいうならピュリニーモンラッシェ一系というか、黄金色っぽくはあるけれども濃い感じではない。ここの作っているオデム(オーガニック、ミドルシップのシャルドネ)よりは薄いと思う。香りは、カスタードクリームとクッキー、なにより蜂蜜。グァバジュースみたいな南国系の香りも手伝って、どこか貴腐ワイン系みたいな香りもする。爽やか系の香りはここではあまり感じられない。
 
 口をつけると、香りに比べると爽やか。すごくとろみがあってグリセリンがぐりぐりと効いている感じがする。酸は穏やかだけど、石灰岩のようなミネラルはさすがにくっきりしていて、このワインの構成要素になっている。飲むにつけても、夕張メロンのようなすごい香りがこみあげてきて、なんというか、大掛かりなシャルドネという感じがする。反面、この方向に進化させつくしたからには、清楚・可憐なシャルドネの方向性とはだいぶ違っていて、スタイルは少し古いカリフォルニア風、現在のブルゴーニュ白ワインたちとは路線が違う。
 
 とはいえ、このワインの香りの連想させる力はさすがフラグシップモデルというか、並みのシャルドネでない。蜂蜜を基調としたフルーツたっぷりのゴージャス路線、そこから飲み進めるにつれて、ローソク・香料系の香りがどんどん高まってきてますます偉そうになってきた。ラベルを眺めながら飲むぶんには「ブルゴーニュの特級シャルドネに比べると、やや果実味が大袈裟で南国風」と言えてしまうけれども、ブラインドで飲んだらこれは何って答えるんだろう?ともあれ只者ではないワインには違いない。面白くいただいている。
 
 ※二日目は、酸味が増したためか昨日よりバランスの良い構成。このワイン、二日以上かけて飲むのがいいと思う。