北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1979】Jean Claude Mas "Les Tannes en Occitanie" Pinot Noir 2018

 
ジャン・クロード・マス レ・タンヌ オクシタン ピノ・ノワール
 ※リンク先は現行ヴィンテージです
 
 このワインは南フランスでお買い得なワインをつくっているマス一族の手によるピノ・ノワール。低価格帯のピノ・ノワールは新世界の品が多いけれども、このワインの場合、新世界的な品なのか旧世界的な品なのか、仕上がりのスタイルを確かめてみたいところ。
 
 まず見た目。あまり濃くない、けれども明るいというほどでもないワインレッド。ガーネット、といった例えがしたくなる。香りは入浴剤みたいな香りで、新世界にありがちなアセロラっぽさが優勢なものとは違う。ただし、わずかにアセロラっぽさはある。
 
 口に含むと、赤系果実の軽い甘みと酸味、タンニンもそれほどでなく、とってもライト。ピノ・ノワールでできているけれども、これ、一歩間違ったらボジョレーヌーボーと誤認するかもしれない。当初の想像に比べてひっかかりどころがなく、するすると飲める。南欧だから濃いめかと思いきや、それほど単純なものではないらしい。普段飲みとしては十分です。
 
 ※翌日は、口当たりがミルキーになってかつ滋味深くなった。タンニンは少しきつくなったかも。でも顔つきが違ってこれはこれで面白い。デイリーワインで二日目もいい顔つきだと嬉しくなります。

【1978】Poilvert-Jacques Champagne Brut (N.V.)

 
ポルヴェール ジャック ブリュットNV ( 泡 白 ) シャンパン シャンパーニュ
 
 まず見た目。そこそこに黄金色をしていてまずまず綺麗。泡も立派な量が立ち上っているからシャンパンらしくはある。香りは、グラスに近づかなくてもわかるほど青りんごのすがすがしさが漂ってくる。鼻をグラスに近づけると白パンの香りが立派に広がってうまそう。こいつ、香りもそれなりシャンパンっぽいぞ?
 
 ところが口をつけると、青りんごのすがすがしさにかなりきつい金属感が!ちょっと!この金属感は苦手です!苦みがしっかりとしているうえ、金属感があるためワインの体躯は立体的というか、ちょっとミネラルっぽさをも帯びていて立派ではある、が、まだちょっとガチャガチャしたつくり。さて、飲み進めるにつれて落ち着くか? 飲み進めると、ちょっとコクのある、シャンパンというより他の品種のワインみたいな魅力を発揮してきて少し驚いた。正統なシャンパーニュらしい品ではないかもだけど、これもこれで面白くはあった。
 

【1977】Villa le Corti "Le Corti" Chianti Classico 2016

 
レ・コルティ キアンティクラシコ
 
 このワインは、まったく知らないメーカーのキアンティクラシコ。モトックスが貼った裏ラベルには「ソチェタ・アグリコーラ(Societa Agricola)」とある。ひょっとしてコルティ村の協同組合みたいなものだろうか。
 
 コルクを抜栓。見た目はかなり暗くて不透明な、ちょっと赤茶色っぽいワインレッド。香りは、初手からカカオのめちゃくちゃ濃いチョコレートのような香りやツーンとしたニスの香り、深く吸い込むと葡萄のかぐわしさとスミレみたいなキアンティ系の香りがこみあげてくる。上等上等。
 
 口をつけると、ジューシーな果実味が口のなかにどっと溢れて、コクがあるけれどもバタくささの無い気持ちの良い飲み心地。明るくて、ひねたところがなくて、その後ろからスミレっぽさがほのかに漂う大変わかりやすくおいしいキアンティ・クラシコだった。
 
 ※翌日もフルーツらしさが存分に発揮され、やけに飲みやすい。かといって、クラシコでないキアンティほど単調というでもなく。いいんじゃないでしょうか。
 
 

【1976】Meson William Fevre Chablis 2018

 
メゾン ウィリアム・フェーブル シャブリ

 今日は再び、シャルドネブラインドテスト。選択として出されたのは、同じウィリアム・フェーブルがつくる
 ウィリアム・フェーブル シャブリ2018
 ビーニャ・ウィリアム・フェーブル グランクリュ 2018
 
 の二つ。前者はこないだ飲んだばかり、後者は飲んだことはないけれども格下とは対峙したことがあり、全体としてメロンっぽいチリ産シャルドネらしいつくりだったと記憶している。これは簡単に区別できるでしょう。
 
 ブラインドでグラスに注いでもらった内容は、薄い黄金色。これだけだとシャブリっぽいけれども、後者だってこれぐらいの色でもおかしくはない。香りは……メロン!それとフルーツポンチっぽい香り、果物の缶詰を漬けているシロップみたいな香りが来る。これはチリ産でしょう、こんなのシャブリじゃまず感じない。口に運ぶと、酸味よりも豊満な果実味が目立つ。どこかスモーキー。もう間違いない、これはシャブリじゃなくてチリ産!
 
 ……と思ったら、ラベルをみせてもらうと!なんと!シャブリじゃないですか。どうしてシャブリがこんなにメロンっぽいんだよ! と叫んでしまった。いつも飲み慣れているメーカーのシャブリが、こんなにスモーキーだったことはなく、こんなにメロンっぽかったこともない。少し温度が高かったせい? いやいや、そういう次元の間違いじゃないでしょうこれは。嫁さん相手に自信満々に伝えて間違えてしまいました。ちくしょう、すっかりやられてしまった。
 
 しかし、冷蔵庫にうつしてしばらくすると澄んだ味わいになってきて、台所洗剤みたいなフローラルな香りが漂うようになってきた。こうなると、がぜんシャブリっぽくなる。レモネードみたいな味わいもあってとてもおいしい。うーんやっぱりシャブリじゃないか、冷えてなかったのはいけなかったのかもしれない。
 

【1975】Domaine Chevillon Nuit-Saint-George 1er Cru Les Perrieres 2011

[2015] Nuits-Saint-Georges 1er Cru Les Perrieres【Robert CHEVILLON】
[2015] Nuits-Saint-Georges 1er Cru Les Perrieresニュイ・サン・ジョルジュ プルミエ・クリュ レ・ペリエール【Robert CHEVILLON ロベール シュヴィヨン】

※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 長らく、我が家には2011年のブルゴーニュワインという、たぶんよろしくないヴィンテージのワインがたくさんあった。概ね早飲み上等な品なので飲んでしまいたかったけれども、こいつは赤ワインとしては最後の一本、モノはニュイ・サンジョルジュの一級。
 
 抜栓したコルクの裏側は濃い青紫色で良い香り。グラスに注いでみると……うわ薄い!そして茶色っぽい。朱色のワインで、へたな平格よりも薄くて弱そうな外観。香りは、濃厚なチョコレートが漂っていて、そこに少し褪せた果実系の香り、アセロラっぽいやつが奥から漂ってくる。でもチョコがまずは優勢で、なんだかニュイ・サンジョルジュという感じがある。
 
 口に含んでみると、タンニンのざわざわっとした雰囲気を伴いつつも、アセロラ系果実が口のなかいっぱいに来た。そのあと、チョコレート風味が顔全体を覆うようにこみあげてくる。じゃあ酸味が弱いかというと、決して酸っぱいわけではないけれども後味の段階ではアセロラ系果実のほんのりとした酸味が口に残る。それでいて顔全体にはまだチョコレートの霧。二口目以降は、チョコとアセロラとタンニンのざらつきが渾然一体となった、えもいわれぬ飲み心地。うんうん、ブルゴーニュの一級はこういうのでいいんだよ、と言いたくなるような。さすがに特級ほどの複雑さには至らないとしても、ブルゴーニュの赤ワインとして調和のとれた、とても幸せな飲み心地。あ、でも「樽の香り」が少しよぎるのは邪魔かもしれない。たぶんチョコレートっぽさの源泉でもあるのだろうけど、このワイン、ときどきモロに樽の香りが来てしまうことがある。それでも十分に幸せになれる底力みたいなものはあって、メロンの風味の漂う幸福な飲み物だ。
 
 2011年というオフヴィンテージのおかげか、もうこのワインは出来上がっちゃっているようにみえる。待たずに今飲んで正解だったんじゃないだろうか。とても良いひとときだった。
 
 ※二日目は、森の下草や腐った切り株のようなにおいがムンムンと立ち上がってきて、これはこれで歳月を感じさせるワインに。チョコレートも健在で、すごく良い出来栄えだと思う。満足。
 

【1974】Louis Picamelot Bourgogne Mousseux Pinot Noir (N.V.)

 
ブルゴーニュ・ムスー(シャンパン二次発酵方式)ピノ・ノワール・セック・ルイ・ピカメロ
  
 このワインは、ブルゴーニュでお買い得なスパークリングワインを作っているルイ・ピカメロの珍品。ピノ・ノワールでつくられた赤のスパークリングだったりする。昔はこれが1600円ぐらいで買えたのだけど、ブルゴーニュ高騰のせいか、今は2000円。しかしほんのり甘いスパークリングワインとして独自の境地をつくっていたと記憶しているので、久しぶりに抜栓してみた。
 
 まず見た目。淡い朱色の液体に、もこもこ立ち上がる泡は桜色!よくあるロゼに比べて、泡の桜色っぽさが鮮やか。細かな泡がもこもこと立ちのぼる姿も美しい。香りを確かめると、キイチゴを思い出す軽い果実、それからちょっとメレンゲっぽい香りも。なんだか華やかだ。
 
 口に運ぶと、僅かに金属感を伴った、そのおかげでしゃきっとした飲み心地の甘酸っぱいやつが来る。赤ワインだけあって、そこらのロゼよりタンニンがしっかりしていて、それでいてスパークル。甘さのおかげか、干し柿を連想させるニュアンスがあるのがまた面白い。シャンパンだったら「ドゥミ セック」ぐらいの中甘口なのでダレる感じがしない。酸味がちょっと弱いかわりにタンニンがあるおかげで底堅く仕上がっている。やっぱりこれは独自の境地。たまーに飲むといいんじゃないかと思う。