北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1975】Domaine Chevillon Nuit-Saint-George 1er Cru Les Perrieres 2011

[2015] Nuits-Saint-Georges 1er Cru Les Perrieres【Robert CHEVILLON】
[2015] Nuits-Saint-Georges 1er Cru Les Perrieresニュイ・サン・ジョルジュ プルミエ・クリュ レ・ペリエール【Robert CHEVILLON ロベール シュヴィヨン】

※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 長らく、我が家には2011年のブルゴーニュワインという、たぶんよろしくないヴィンテージのワインがたくさんあった。概ね早飲み上等な品なので飲んでしまいたかったけれども、こいつは赤ワインとしては最後の一本、モノはニュイ・サンジョルジュの一級。
 
 抜栓したコルクの裏側は濃い青紫色で良い香り。グラスに注いでみると……うわ薄い!そして茶色っぽい。朱色のワインで、へたな平格よりも薄くて弱そうな外観。香りは、濃厚なチョコレートが漂っていて、そこに少し褪せた果実系の香り、アセロラっぽいやつが奥から漂ってくる。でもチョコがまずは優勢で、なんだかニュイ・サンジョルジュという感じがある。
 
 口に含んでみると、タンニンのざわざわっとした雰囲気を伴いつつも、アセロラ系果実が口のなかいっぱいに来た。そのあと、チョコレート風味が顔全体を覆うようにこみあげてくる。じゃあ酸味が弱いかというと、決して酸っぱいわけではないけれども後味の段階ではアセロラ系果実のほんのりとした酸味が口に残る。それでいて顔全体にはまだチョコレートの霧。二口目以降は、チョコとアセロラとタンニンのざらつきが渾然一体となった、えもいわれぬ飲み心地。うんうん、ブルゴーニュの一級はこういうのでいいんだよ、と言いたくなるような。さすがに特級ほどの複雑さには至らないとしても、ブルゴーニュの赤ワインとして調和のとれた、とても幸せな飲み心地。あ、でも「樽の香り」が少しよぎるのは邪魔かもしれない。たぶんチョコレートっぽさの源泉でもあるのだろうけど、このワイン、ときどきモロに樽の香りが来てしまうことがある。それでも十分に幸せになれる底力みたいなものはあって、メロンの風味の漂う幸福な飲み物だ。
 
 2011年というオフヴィンテージのおかげか、もうこのワインは出来上がっちゃっているようにみえる。待たずに今飲んで正解だったんじゃないだろうか。とても良いひとときだった。
 
 ※二日目は、森の下草や腐った切り株のようなにおいがムンムンと立ち上がってきて、これはこれで歳月を感じさせるワインに。チョコレートも健在で、すごく良い出来栄えだと思う。満足。