北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2210】Saint Cosme Cotes-du Rhone 2019

 
サン・コム コート・デュ・ローヌ 2020
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
このワインは、ローヌではお買い得なワインを作っているサン・コムのベーシックな品。2020年の秋にも対峙したことがあるけど、その時は、かなり好印象だった様子。最近、まだまだ濃い赤ワイン成分が不足している気がしたのでやってみることにした。
 
まず色。べっとりと濃い赤ワインだ!グラスの辺縁まで、ちょっと赤茶けた黒々とした赤ワインの色をしている。香りは、おはぎや煮豆のようなほっこり成分とジビエみたいな獣肉っぽい香りがする。このあたりは抜栓した時期による違いか?(前回は獣肉っぽさが少なく、もっとジャミーな香りが優勢だった)。
 
口に運ぶと、あたかもボルドーの赤のような穏やかな飲み心地と舌ざわりに驚いた。あれっ?こんなにこなれたワインだったっけ? コーヒーっぽさもあるけれど、まるでカフェオレだ。そういう穏やかさが10秒ほど続いた後、急激に苦みと酸味が口のなかに炸裂した。おお、しり上がり。でも、二口目も再び穏やかで、甘味が伴っていることがよくわかる。苦みと酸味、それからタンニンのキック力を秘めつつ、口をつける入口がまろやかなので、飲み心地とパワーがうまく釣り合っている感じだ。このボトルは半年ほど冷暗所に放置されていたものだったのだけど、それがプラスに働いているんだろうか。なんにせよ、いい感じだぞ。
 
※翌日も、ローヌの赤としてはまろやかで、気持ち良く飲めた。このワインは、ボトルを立てたまま半年ほどいい加減な環境で放置されてたんだけど、かえってそれが良かった? 適当なローヌの赤を買ってきて、再び実験してみたい。
 

【2209】La Pousse d'Or Volnay 1er Cru En Caillerets 2015

 
プス・ドール エン カイユレ 2017
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
このワインは、お世辞にも上手な作り手とはいえないプス・ドールが作っている、ヴォルネ一級カイユレ。このワインは、ヴィンテージが良くても悪くても熟成させてダメだったので、今回、逆に早飲みに割り当ててみることにした。2015はまあまあいいヴィンテージだったと思うけれども、果たしてどうだろう。
 
グラスに注ぐと、なんかものすごく濃い。そしてピノ・ノワールなのに青紫色。不透明、液面に泡ができて泡だっている。不透明なのは、ワインを直前まで横倒しにしていたからだろう。 香りは、梅系お線香の香りがぶわーっと凄い勢いで来て、活きが良いのだけは間違いない。雨の日の森みたいな香りもかなり強い。
 
口に含むと、ざらっとしたタンニンが舌の上をざらつかせる。でもって果実味は爆発するようだ。ヴォルネならではの軽さは、ここではよくわからない。果実味がたっぷりで森っぽくもあるから悪い気持ちにはならない。うまいっちゃうまい。でもこれ本当にヴォルネカイユレなの? ……いやしかし、このザラザラを除けば軽さが伴っているし……おお……やっぱり果実味の内側に空洞があるような気がしてきた。プス・ドールのワインの欠点、果実味の内側の空洞だ。しかしへたに熟成させてないぶん果実味に新鮮さが乗っていて、森の下草のような香りがしっかりしていて果実味の内側の空洞をかなりのところまでカバーしている。プス・ドールのヴォルネは早飲みがgoodなのか。他の畑はともかく、ヴォルネ一級カイユレは早飲みでいこう。
 
※翌日は、やや香りが弱くなり、米ぬかフレーバー、またはミネラリーな側面が露わになった。この展開は、プス・ドールのカイユレとしてはいつもの路線なので驚きはしない。翌日も果実味の内側の空洞はかなりカバーされていて、気にせずに飲めた。ということはプス・ドールは早飲み上等とみるべきか? まあ、「買わない」が一番手堅いのだろうけど、ここほど安くカイユレの移り変わりを経時的観測できるメーカーはないのでどうしたものか。
 

【2208】Chateau Carlmagnvs Fronsac 2018

 
シャトーカルルマニュス フロンサック ボルドー 2018
 
このワインは、シャトーカルルマニュスという作り手の20周年のワインらしい。ラベルが五大シャトーのシャトームートンロートシルトもどきっぽいデザインになっている。これを、落ち着いた気持ちで飲むべく抜栓した。
 
久しぶりにボルドーグラスを取り出してきて注いでみると、光の透過性ゼロな、まったく不透明でブラックなワイン、まさにルージュにしてノワール。液面のへりまでびっしり不透明だ。甘い煮豆の香りとブランデーのような香り、それから森の苔がいっぱい生えた切り株みたいなオーガニック系の香りが伴っていて雰囲気が良い。杉やひのきが真っ直ぐに来るのでなく、苔の生えた切り株ってところが嬉しい。
 
口に含むと、ここでミントや杉みたいなさわやか系のフレーバーにようやく気付く。ワインはボルドー系としてはコクがたっぷりで、カフェオレというよりキャラメルのようだ。甘さがあり、ミルキーな口当たりもあるのでさしづめミルクキャラメルか。とはいえタンニンや苦みがないわけではなく、それなりある。あるんだけど、キャラメルのような甘さとミルキーな口当たりにうまく溶け込んでいて、ひとつの作品になっている。こう書くと付き合いきれない代物だと思う人もいるかもだけど、このパラグラフの最初に書いたさわやか系のフレーバーと一応の酸が排気口になっていて、窒息するほどでもない。よくできている。
 
※二日目になると、もう少し酸味が勝ってまろやかな雰囲気が衰えてしまった。とはいえ許容範囲。ボルドー系のなかでも濃いタイプだけど、濃いなりに良いワインだと思う。

【2207】Domaine des Accoles Le Cab des Acolytes 2017

 
ル カブ デ ザコリット[2018]ドメーヌ デ ザコル
  
このワインは、ローヌでコスパの良いワインを作っているザコルの品。だけどカベルネソーヴィニヨン主体のワインだったりする。 
 
見た目は、めっちゃ濃い赤ワイン色で、不透明感がかなり強い。ワイングラスの辺縁はやや青紫色がかっていて、若々しい印象がある。香りは、ブルゴーニュグラスを使っているせいかもだけど、梅系線香の香りと濃厚ジャムな香りが中心、あまり煙突・埃系の香りや杉系の香りは漂ってこない。
 
口に運んでも印象は変わらず、情熱的な果実味で押してくるような。とはいえ、ローヌ系品種のグルナッシュ、シラーなどとは異なったさっぱりと後味にはカベルネ感があると言えそうだ。それでも、飲み進めると果実味に森の下草のような風味がこもってオーガニック然としてきた。これはうまい。それでいて鎮静作用がある。いいカベルネじゃないか。落ち着くだけでなく、安ボルドーとはまた違った、なんらかの差別化ができていると感じた。
 
※翌日は、鎮静作用が薄まって普通の南の赤ワインといった趣になった。初日のほうが面白い飲み心地だった。
 

【2206】Grati Chianti 2018

 
グラーティ キアンティ 現行
 
 
このワインは、グラーティというコスパ抜群のキアンティ(とキアンティクラシコ)を作っているトスカーナのメーカーの品。クラシコのつかないキアンティは、食いしん坊のワインというか、食欲を刺激するところがあって時々飲みたくなる。そのなかでは、このメーカーの無印キアンティはセーフティーな感じ。
 
まず見た目。なんとも薄い、朱色~オレンジ・茶色系の赤ワインで、グラスの向こうが透けてみえやすい。香りはたいしたことがないけど、口に含むと、イタリア系、というかキアンティ系でとりわけ顕著なスミレ・軟膏系の香りがふわあっと漂ってくる。果実味のすっきりした、じゃぶじゃぶ飲める口当たり&コーヒーっぽさの強くないワインなのだけど、存外コクがあり、箸にも棒にも掛からない安ワインではない。なんというか、舌の上にこってりとした存在感が(このクラスのワインにしては)あるのだ。重いかって? 重いわけないじゃないですか。
 
こういうワインはだいたい何と一緒にやっても大丈夫だろうと信頼して、イカのフリッターからスタートしてみたけれども問題なし。適当に食事の相手をしてもらうにはいいワインだ。

【2205】Graham Beck Brut Blanc de Blancs 2016

 
グラハム ベック ブラン ド ブラン 2016 or 2017
※リンク先のヴィンテージははっきりしません。
 
このワインは、南アフリカのスパークリングワインとしては安定銘柄であるグラハムベックが作っているブランドブラン。普通のものより値段がはっきり高いので、良いかたちで差別化されていて欲しいところだ。
 
見た目は、結構黄色っぽいスパークリングワインで、泡がたっぷりと立ち上る。香りは、青りんご系のさわやかな香りがメイン、普通のグラハムベックのほうが漬物度が高かったように思われる。
 
口に運ぶと、ここには漬物っぽさが宿っていて、がっしりとした飲み心地。酸がしっかりしていると同時に、適度な苦みがあり、まるでビールのようだけど、のどごしがすごく良い。でもって、余韻として青りんご&メレンゲ風味が漂うのがまた気持ち良い。この余韻がかなり長く、しかも品が良いのだからたまらない。価格的には安物シャンパンぐらいの価格だけど、味わいは標準的なシャンパンといい勝負をしていると思う。人が来た時に出して恥ずかしくないスパークリングワインだ。