北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2414】J.Cacheux et Fils Bourgogne Hautes Cotes de Nuits Rouge Bec a Vent 2018

 
ドメーヌ・ジャック・カシュー ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ ベック・ア・ヴァン [2018]
 
まず見た目。うっ……濃いぞ、ブルゴーニュの赤ワインにあるまじき色をしている。やや青紫色がかっていて、不透明で、ひたすら濃い。光にかざしてもルビー色に輝く度合いは低い。この見た目からブルゴーニュ産のピノ・ノワールと連想するのはたぶん無理。
 
香りは悪くない。こしあんのような甘い香りと甘酸っぱそうな香り、それから杉と香料だ。既知のワインでは、このときのアンヌ・グロの品をもう少しくだけた雰囲気にしたらこんなワインになるかもしれない。味は見た目や香りどおり、とにかく濃くて、どろっとしていて、こしあんの香りにふさわしいざらつきがあって、タンニンはピノ・ノワールとしてはかなりのものだ。ワインの体格はでかぶつで、ジュヴレ・シャンベルタンには遠く及ばないにしても、テナーの利いた末広がりな飲み心地がちょっとだけあるかもしれない。生臭くないカシスリキュールみたいな飲み心地と、香料と仲良しと感じられる酸味&甘みは結構飲ませてくれる。一瞬、醤油のような香りと塩っぽさを連想する場面もあった。まさかね。
 
で、このワインはいったいどういうワインなんだろう。確かに美味いし多角的なワインかもしれないけれど、ピノ・ノワール「らしさ」がわからない。ブラインドテイスティングでこれをピノ・ノワールとわからなくてもしようがないと思う。酸味と甘みからは、できの良いカベルネフランを、醤油のような香りからはテンプラリージョを想像したりもする。ああそうだ、それでいえば2011年に飲んだロワール産のピノ・ノワールにも似ているかもしれない。あれよりこっちのほうが複雑だけど、魅力の方向性は似ている。あとになって、2022年にも同じ銘柄のヴィンテージ違いと対峙していることが判明したけど、そのときもカベルネフランを連想していたようだ。
 
※翌日、ちょっと飲んでみる。昨日に比べると風味が少し穏やかになった。でかぶつじゃない。でもこれぐらい穏やかなほうが好みではある。世間的には初日のでかぶつ感のほうがウケると思うけれどもいかに?
 
※三日目。あまり値段の高くないニュイ・サンジョルジュ一級と比較してもこっちのほうが濃く、それと比較すると香料っぽさは歴然としている。味が濃いだけでなく、香料の香りがより重たくなったようにも思う。自分の好みではないけれども首尾一貫した特徴があり、そういうワインが好みの人にはお勧めできるかも。