北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1784】Kante "Extro" Vino da Tavola Bianco (N.V.)

 
カンテ エクストロ ビアンコ
 
 このワインは、イタリア北東部・ヴェネチア・ジューリア州でヘンテコワインをたくさん作っているエディ・カンテの作。このエクストロは「よく振ってお飲みください」という奇天烈な但し書き付きのもので、実際、ワインの底にはものすごい量のおり、というより粒子が降り積もっている。ボトルを振ると埃のようにそれらが舞い上がってたちまち不透明になってしまう。前回呑んだ時はなかなか良い印象だったので、再び挑戦。ただし、このワインは製造中止になったのか、もうあまり見かけなくなってしまった。このボトルも八重洲リカーズハセガワでバーゲンセール品として叩き売られていたものを保護したもの。
 
 まず見た目。とにかく濁っている!ビックルを少し薄くして、透明度を幾分ましにしたような見た目。いや、塩麹を水にといたらこんな色になるだろうか。少しオレンジ色がかった乳白色。匂いはヤクルトやネクターに似ている。あまったるい、人をたぶらかすような匂い。それと、生きた木の枝を引きちぎった時のような鋭い精気が感じられる。エネルギーを感じる。
 
 口に含むと、ざらざらとした舌ざわりと苦みに驚く。およそワインにあるまじき舌ざわり。でもって、飲み込むと苦みと精気がずーーーーっと残る。甘味は、ぽんかん飴の、あの苦みを帯びたやつに似ているけど、飲み心地に粒子が感じられるのはやはり独特。あと枇杷にも似ている。全体的にオレンジ色果実のちょっと癖のあるタイプを思わせるところがあり、それが余韻となってずっと続く。こういうのを飲むと、やっぱりカンテはやめられないと感じる。このプロトタイプっぽいやつはともかく、量産型のカッパシリーズはもっと買いたいなぁと思った。
 
 ※二日目のほうが、残った澱の量は多かったけれども、活きはちょっと落ちたかもしれない。初日に飲んでしまいたかった。

【1783】Louis Latour Bourgogne Chardonnay "Cuvee Latour" 2016

 
ルイ・ラトゥール ブルゴーニュ キュヴェ・ラトゥール ブラン
 
 このワインは、ブルゴーニュの大手、ルイ・ラトゥールが作っている平格ブルゴーニュ白。ある種の指標として、以前からたびたび飲んでいて直近では2015年ヴィンテージのものを飲んでまあまあだったのを覚えている。このクラスのワインは、まあまあであることがとても大切なので、まあまあであって欲しい。
 
 まず見た目。透明感のある、ちょっと色白なシャルドネ。平格らしい薄さだ。香りは、さわやかな台所洗剤系の香りがメインで、あまりこってり蜂蜜していない。すごくさわやかで、樽を使っていないんじゃないかというような。
 
 口に入れてみると、これまたはちみつ少な目で、桃や黄桃のような風味を少し帯びている。感覚としては、典型的なブルゴーニュシャルドネっていうよりチリ産のシャルドネに似ているかも。植物っぽさが強く、それでいて痩せているというより膨らみがある。膨らみを支える酸がちょっといまいちで、「腰がふらふらしている」。この価格帯のシャルドネとしておかしくはないけれども、期待するタイプとはちょっと違うかもしれない。
 
 ※翌日も、あまりブルゴーニュシャルドネらしくない、もっと新世界寄りの風味。だからまずいってわけじゃないけれども、ブラインドで飲んだら違う地域を口にしていそうだとは思う。
 

【1782】Domaines Barons de Rothschild Bordeaux Reserve Speciale Rouge 2016


  
 このワインは、バロンドロートシルトの名前が入ったボルドーの安赤ワイン。個人的には、このバロンド~の安物には良い思い出が無いのであまり期待していない。じゃあなんで飲むのかといえば、そういうワインセットがあって、たまには苦手なワインと稽古してみようと思って買ってみたから。
 
 で、抜栓。色はちょっと青紫色がかっていて、黒々と不透明。若いカベルネソーヴィニオン、という印象がある。香りを確かめると、ほんのり梅線香+杉とインクの匂い。ただ、やたらとプンプン匂ってくるのでなく、そこそこ控え目なところはボルドーらしいっちゃらしい。
 
 口に含むと、甘味の控え目でちょっとミルキーな、安赤ボルドー!という王道の展開。タンニンがいかめしく、がさっがさっとした口当たりで、こんな安物でも、数年程度待ったほうがいいんじゃないかというような。甘味でたぶらかすでもないけれども果実味と酸味には底堅いものがあって、予想以上に腰が据わっている。もっと、新世界のカベルネとかわらない、果実味で押してくるタイプかと思っていたのでうれしい想定外。落ち着いた飲み心地があって喜ばしかった。
 
 ※翌日は、もうちょっと果実味が強くなり、鉄っぽさ、血っぽさが全面に出てきた。新世界のカベルネに近づいたとも言えるけれども、血っぽさがあるので南仏あたりにありそうな雰囲気でもある。初日が落ち着きで二日目は鉄血。予想以上に楽しめた。

【1781】Andrew Peace Winemakers Notes Chardonnay 2016

 
ワインメーカーズ・ノート(byアンドリュー・ピース) シャルドネ "バッチ106"

 このワインは、とてもシンプルなラベルでスクリューキャップのオーストラリア製シャルドネニュージーランドはともかく、オーストラリアのシャルドネを飲む機会はすごく少ない。価格もかなり安い。自分はどういうつもりでこれを買ったのだろう?
 
 グラスに注いでみると、色は「薄めた黄金色」っぽい色調。ブルゴーニュの平格白ワインのような、レモン色~緑色っぽさがこのワインには無くて、高級ワインの黄金色をそのまま薄めたような、照りのある色調をしている。
 
 香りは、蜂蜜フレーバーかな? と思ったら洋梨の匂いがする。それと少し茎っぽい。台所洗剤系の蜂蜜、と言いたいところだけれども、もうちょっとえぐみのある匂いがして、チリ産シャルドネの亜種、といった感じがする。
 
 口に入れると、やはりチリ産シャルドネの亜種っぽい。トロピカルフルーツっぽい甘さがあるんだけど、ソーヴィニオンブランにもありそうな味の中心が空洞っぽい感覚があって、望ましいシャルドネとしては芯の弱さがある。苦みもちょっとあるんだけど、この苦みもワインを立派に仕立てるというより、例のちょっとえぐい茎っぽさを意識させるところがある。飲んでまずいものではないけれども、そこはそれ、安い新世界産シャルドネの典型という雰囲気ではある。
 
 ※二日目も、シャルドネとしてまあなんとか合格、といった風采。掘り出し物、というより標準品。
 

【1780】Domaine Santa Duc Gigondas "Aux Lieux-dits" 2011

 
ジゴンダス オー・リュー・ディ [2013] サンタ・デュック
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 このワインは、おいしいジゴンダスをつくっているサンタ・デュックの廉価版ジゴンダス
 
 まず見た目。赤茶色~茶褐色の不透明感のあるごっつく黒っぽいワイン。茶色系スペクトルがとても目立つ。香りは、こしあん+甘納豆のような匂いに、チョコレートとバニラ。とかく甘い豆を連想させる風味がする。
 
 口をつけると、チョコ+甘納豆の甘い滑り出しに、ごっついタンニン、ジャムみたいなジャブジャブ濃厚果実が来た。力強いワインで、味のスカラー量の強さたるや新世界ワイン並みだけれど、酸味が意外にしっかりして頭でっかちにはなりきっていない。飲むほどに身体に馴染んできて、アルコール度数の高さに気持ち良く乗れる。ローヌのワインは昔は好きでもなかったのに、いつの間にこんなに好みになっていたんだろう?その立役者がこのメーカーがつくっているジゴンダスで、こいつは安いほうの銘柄とはいえ、やっぱり飲んでいて楽しい。
 
 ※翌日はもうちょっと茶色っぽさが強くなたように感じられた。一層はっきりとしたジャムとチョコレート、それから一定以上のワインにしばしばある、香料の塊のような匂い。たまらない。

【1779】Chateau Dereszla Tokaji Dry Furmint 2016

 
シャトーデレスラ トカイ フルミント
 
 このワインは、ハンガリーで作られた辛口白ワイン。トカイワインと共通の「トカイ」という名称が入っていて、品種はフルミントということになっている。果たして、どんなワインか。
 
 スクリューキャップをあけてグラスに注いでみると、恐ろしく色が薄い。既知のワイン品種でいえば、日本産の龍眼並みの色の薄さ、ほんのわずかに黄色がかった色がついているけれども限りなく透明。香りは、台所洗剤系+マスカット。これも、既存のワイン品種でいえばミュスカデ(ってことはマスカットだ)を連想させるところがある。
 
 口に入れてみると、やはりミュスカデっぽい。マスカットっぽい果実味、ほんのりとした苦みと青臭さ、リンゴっぽさ。とても瑞々しくてすいすい飲みやすい。スゴいワインでは決してないけれども、スイスイ飲める引っかからないワインとしてつくられている。そして飲むほどに太さが感じられ、味の輪郭が強くなってくるあたりはさすが。飲み飽きるタイプでなく、引き込まれるようなワイン。なかなか手ごわいやつだ。
 
 ※二日目は、最初から味の輪郭のしっかりした、飲みごたえのある姿に。これは意外にお買い得だったかも。