北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2180】Sierra Salinas Macabeo 2019

 
[2019] シエラ サリナス マカベオ
 
これは、スペイン産のマカベオでつくられた安白ワイン。マカベオは安白ワインの品種としては割と信頼しているほう。シャルドネとは違った旨さをみせてくれたらいいなと思いながら抜栓。
 
まず見た目。これがとても良くて、グリーンがかった薄い白ワイン色をしている。香りは、台所洗剤系のさわやか花畑系。ミントやハッカめいた雰囲気もある。いいね、非シャルドネ系でトロピカルでもない白ワインはこういうの嬉しい。
 
口をつけると、初手からハッカのようなスースーする風味を伴っていて、マカベオらしさがある。酸が粗いのも良くて、石灰系のごわっとした酸味がのどを通り過ぎていく。のどを通り過ぎる時にもミントの香りを伴っているのがまたいい。果実味は、果物でいうなら柑橘系、なかでも八朔だ。淡いシトラスがまた魅力的。貴族的なワインからは程遠いけれども、夏に飲む白ワインとしてよくまとまっていて鰯を使ったサラダとの相性も良い。ただ、たくさん飲むとボロが出てくるというか、安酒っぽい息が混じってくる。とはいえこれは文句言ったら罰があたるレベル。
 

【2179】Enterizo Cava Brut (N.V.)

 
カヴァ エンテリソ ブリュット
 
このワインは、ヴェリタスさんで買ったスペイン産スパークリングワイン、いわゆるカヴァの一種。夜になっても暑さがぬけないのと、おつまみが充実していたのでこれをあけてみることになった。
 
まず、グラスに注ぐと色合いはレモン色。細かな泡が勢いよくたちあがってくる。ゆっくりのぼる泡ではなく、かなり速度のある泡の上昇。香りは、水仙~ヒヤシンスをイメージさせる、爽やか系の花の香りがほんのりと。
 
口に運ぶと、すだちのようなあっさり系の柑橘の風味がすっきりと。シャンパンにありがちな重さとは無縁で、軽快な飲み心地。一部のカヴァにありがちな、キンキンとした金属感ともこいつは無縁。非常に気持ち良く、ライトに飲ませてもらえる。アルコール度数もやや軽いのか、汗をかきながら飲むぶんにはあまり酔っぱらう風でもない。夏の夜のおともとして良好、ヴェリタスさんのサイトで価格を見たら717円(2021年6月現在)とあってびっくり。717円でこれだけ旨いならいうことなし。
 

【2178】Domaine Leflaive Puligny-Montrachet 1er Cru Clavoillon 2013

ピュリニー モンラッシェ1級クラヴァイヨン[2018]ルフレーヴ
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
このワインは、ブルゴーニュの白ワイン作り手のなかでも知名度の高い、ドメーヌ・ルフレーヴのピュリニーモンラッシェ一級、クラヴァイヨン。このボトルは値段が安かった頃に、一層値段の安いお店で買ったものなので正直あまり信頼できない。それとピュリニーモンラッシェ一級のなかではクラヴァイヨンって値付けがそれほど高くない部類なので、そういう意味でもこのワインの潜在力がどの程度なのかは知れない。
 
まず見た目。まずまず黄色っぽく、ソゼのピュリニーモンラッシェ一級たちに比べると色は濃いかも。香りは……これ大丈夫なのかな、酢酸っぽい香りがすごくする。シャブリみたいな米ぬかも。その奥から……大理石の予感がする。ピュリニーモンラッシェにありがちな大理石だ!
 
口に運ぶと、ザ・大理石! ちょっと酸味に酢酸っぽさがあり、これが畑のせいか購入ルートの弱さのせいかわからないけど気になる。でも大理石っぽい香りとほんのりとした甘味、そこにシャブリ一級とよく似た骨っぽさがばりばりと響くワインだ。後味に塩味みたいなやつも来るのも良い。先日飲んだ、格下ドメーヌのフランソワ・カリヨンによるピュリニーモンラッシェ一級2013と比較した場合、好みはあっちかもしれない。なんていうか、あっちのほうが親しみやすく、黄金味と精気がしっかりしていたからだ。でもって、エチエンヌ・ソゼのピュリニーモンラッシェ一級(シャン・ガン2011)に似ている。細身をきわめ、大理石がばりばり来て、ちょっとストイックで、控えめに甘味や蜜が添えられる、それがピュリニーモンラッシェ一級ということだろうか。
 
※翌日も、ミネラルがガンガン来るワインで、しかも大理石みがあった。ここらが石灰岩みのあるヤルデンあたりとは大きく異なっていて、かつ、シャブリに通じるところがある。でもってほんのりとした甘味と蜜も健在、ほっそりしている。良いワインだと思うけど、現在の高騰を考えるとリピートはしないかな。近い価格帯のソゼのピュリニーモンラッシェ一級でいくか、ダウングレードしてフランソワ・カリヨンのピュリニーモンラッシェ一級でいくと思う。
 

【2177】Cono Sur Bicicleta Pinot Noir Rose 2019

 
コノ・スル ビシクレタ ピノ・ノワール ロゼ 現行
  
チリ大手コノ・スルのワインは安くて手堅いのでよく飲んでいるけど、なんと、ロゼは一度も飲んだことがない(ロゼスパークリングなら一度だけある)。で、ここに一番安いビシクレタのロゼがある。いったいコノ・スルはどんなロゼを出してくるんだろうか。
 
まず見た目。とてもきれいなロゼ色だ!ピンク色の、わずかにオレンジがかった薄い色合いがなんとも良い。香りは、意外なほどピノ・ノワールを反映している。アセロラみたいな果実の香りに金柑。でも、このロゼからはほんのりカフェオレの香りがして、これがチリ産ピノ・ノワールの刻印めいている。イタリアのロゼにこういうのはあまりなさそうだ。
 
口に運ぶと、やっぱりコーヒーが効いている!ロゼらしい金柑っぽさもあるのだけど、それを上回るコーヒーっぽい風味とコク。旧世界のたいていのピノ・ノワールと比較してもコクがあって、ロゼなのにテナーが利いていると感じる。まさかロゼでもチリ産ピノ・ノワールらしさをここまで全面に打ち出してくるとはちょっと驚いた。これ、飲んだ時に選んだグラスが諸事情でブルゴーニュグラスだったせいもあるのかな? コクのあるロゼをお望みなら、これは安くて手堅い選択肢だと思う。
 

【2176】Domaine Paul Pillot Bourgogne Pinot Noir 2018

 
ドメーヌ・ポール・ピヨ ブルゴーニュ ピノ・ノワール [2018]750ml
 
このワインは、飲んだことのないメーカーの平格ブルゴーニュなのだけど、なんと蜜蝋ならぬ樹脂蝋で封がされていた。すごいごつい雰囲気だ。でも平格は平格。気軽に飲んでみましょう。
 
まず見た目。ワインレッドという形容が良く似合う、赤黒くなりすぎない色合いをしている。とはいえピノ・ノワールとしてはそこそこに濃く、オレンジ~レンガ色の色彩とはなっていない。若そうな色合いだ。香りは、なんと主体が森の下草。苔とか切り株とか、そういったものの香りがむんむんとしている。こういう点では平格ブルゴーニュらしくない。果実の香りは、こうしたオーガニック臭の後ろからやってくる感じ。
 
口をつけてみると、まずどっさりタンニンにびっくりした。ブルゴーニュなのにふさふさのタンニンで口のなかがいっぱいだ! コーヒーみたいな苦みとコクもある。果実の雰囲気はピノ・ノワールっぽいのだけど、と書きかけて訂正。これってブラインドでピノ・ノワールってわかるんだろうか? ふさふさのタンニンとコーヒー風味からいって、自分はこれをブラインドではブルゴーニュピノ・ノワールと絶対に当てきれないだろう。この森の下草風味を前提としてブラインドテイスティングしたら、質の良いバルベーラとか、質の良いカリピノとか、そういう答え方をしそうだ。飲み進めてくると、ほっこりとした果実味が盛り上がってきた。こうなってもなお、苦みやコーヒーが強く、舌ざわりがざらざらしている。少し亜鉛アルカリ土類金属っぽいかもしれない。こうした諸点を考えると、ピノ・ノワールというよりクリュ・ボジョレーのモルゴンとか丁寧につくられたバルベーラ、よくできた南仏系ワインなどと区別が難しいとみた。けっして悪いワインではないけれどもピノらしいかと言われるとさて。
 
※翌日。森の下草みたいな香りが強化された。でもって、飴みたいなあまーい香りも。た、沢庵みたいな漬物っぽい香りまで混じってきたぞ?! 昨日よりも高級感がある。いいじゃないか。でもピノ・ノワールっぽいかというとそれはまた別。ますますもって、自分が知っているピノ・ノワールから逸脱して怪物のようなワインに姿を変えていった。こういうの、好きな人はすごく好きで高く評価するんじゃないかと思う。
 

【2175】Louis Armand Champagne Grand Cru Brut (N.V.)

 
ルイ・アルマン ブリュット グラン クリュ
 
このワインは、ヴェリタスさんが商っているルイ・アルマンがつくっているシャンパン、そのグランクリュ以前にプルミエクリュと対峙したことがあったけど、普通の品との違いはいくらかあった。今度はグランクリュなので、もう少し違いがわかるかもしれない。冷やし過ぎず・熱し過ぎずに注意しながら抜栓。
 
冷蔵庫から取り出して抜栓……おや!突然吹いた!金具を外した瞬間に栓が勝手にとれて少し吹いてしまった。グラスに注ぐと、レモン色の液体でそれほど金色していない。泡は、勢いよくゴワゴワとふきあがってくる。香りは……初手でははっきりしない。
  
口をつけてみると、リンゴというより焼リンゴみたいな甘さがわっと広がる。でも、そこから急激に酸っぱくなってきて柑橘類、グレープフルーツと金柑を足したような酸が口のなかに広がってくる。すっぱ! あと、これはリンゴの芯だ。リンゴの芯のような香りがする。苦みと金属感も強く、なんだか飲みにくい。このシャンパン、ノーマルに比べて大柄で飲み慣れてくると凄いポテンシャルを発揮するのかもしれない。でも、大手の上級クラスはこんなに初手がガチャガチャしていることはない。少し落ち着いてくると、ピノ・ノワール由来とおぼしき金柑やサクランボ風味を楽しめるようになってきたけど、いや、それでも暴れ馬すぎる。だいぶ暑くなってきたけど、到底これを嫁さんと一日であける気になれず、翌日持ち越し。
 
※翌日、ブルゴーニュグラスに注いで飲んでみた。なんか昨日よりも金色がかってみえる。泡は微炭酸とはいえ健在。香りはいくらかお菓子っぽさと柑橘ぽさが強まった(が、これはグラスの性能にもとづくものだと思う)。味はあまり変わらない。頑固なシャンパンだ。