北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2313】Domaine des Croix Beaune les Cents Vignes Primier Cru 2017

 
ドメーヌ・デ・クロワ ボーヌ・レ・ソン・ヴィーニュ・プルミエ・クリュ [2019]
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
まずいただくのは、ドメーヌ・デ・クロワのボーヌ一級。ヴィンテージは2017と若飲みの部類、でもボーヌは若飲みに向いているエリアだから大丈夫でしょう。色合いはわりと薄目で、朱色、とまではいかなくても大抵のブルゴーニュ赤よりも薄かろう感じ。香りは、気持ちの良い果実香りがストレートに来る。かなり直球なワインだぞ。
 
口に運ぶと、さくらんぼが炸裂! 酸がとてもしっかりしていて余韻もなかなか長い。抜栓して間もない頃から伸び伸びとしていて、ボーヌはこうでないとと改めて思う。飲み進めるうちに香料系の強い香りがよぎったり、ヤクルトみたいな乳酸系っぽいニュニュっとした時間帯があったりするのも良い。ははあ、このあたりはボーヌといえども一級の赴きがあると言えるのかな。ボーヌはうまくて果実がしっかりしていれば幸せ&合格なきらいがあるけれども、その枠のなかでそれなり風味に挙動があるのは嬉しく、若飲み一級かくあって欲しい感があっていい。
 
 

【2312】Cantina Santa Maria la Palma "Aragosta" Vino Spumante Brut (N.V.)

 
アラゴスタ スプマンテ ブリュット NV サンタ マリア ラ パルマ
 
このワインは、赤いエビのジャケットが美しい、サルデーニャの定番メーカーのスプマンテ。ここのスプマンテには微炭酸とそうでない品があるけれど、これはそうでないほう(微炭酸は、あれもあれでいいけど欲しくない時もある)。
 
なんか気分でフルートじゃないグラスに注ぐ。それでも泡立ちは立派なものだし、色白でヴェルメンティーノらしい感じだ。香りは……レモンと石灰岩がメインでとっても爽やかそう。で、口に運んじゃうと、ぷちぷちとしたスパークリングワインらしい口当たりに、レモン+ラムネのような爽やかな風味、それといくらかの苦みがやってくる。とにかく爽やかさが身上、暑くなってきた季節によく合うワインだ。郷土系の魚料理とも良い相性をみせる。飲んでも飲んでも飲めてしまうので、つい、勢いあまって二人で全部飲んでしまった。

【2311】Casa Santos Lima Red Blend Portugal 2019

 
リスボア ティント 750mlカーサ サントス リマ 2019
 
このワインは、よくわからないポルトガルワイン。裏ラベルに一応英語であれこれと書いてあるけれども、ポルトガルとそのワインの伝統についてと、要はこのワインは味も香りも良いといったことしか書いて無くて、はいはい、わかりました、と答えるほかない。まあでも、酒杯に問うてみればつまびらかになるでしょう。
 
まず見た目。濃い!真っ黒で不透明、少し青紫色がかっていて、若くて濃い赤ワインっぽさ満点だ。香りは、果実よりもお線香とプラムを連想させるタイプ。今までのポルトガル赤ワインもそうだった気がする。口に運ぶと、はじめはプラム、じわじわと甘いジャムめいた果実味。どっしりとしていて、肉料理とは良い相性を見せる。価格帯からいって文句を言ってもはじまらないのだけど、重たいと感じる。もともと重たいワインが得意ではないので仕方ないのだけど、このワイン、ずっしりしている……。ずっしり系が好きな人にはお買い得なアイテムだとは思う。
 
※翌日は、重たい感じがいくぶん解消されて、ぐっと飲みやすくなった。これは素早く飲むより、ゆっくりデイリーしたほうがいいワインだったんじゃないか。
 

【2310】Comtes Lafon Volnay Santenots du Milieu 2009

 
コント ラフォン ヴォルネイ プルミエ クリュ サントノ デュ ミリュ 2015
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
このワインは、コント・ラフォンが手掛けている赤ワインである、ヴォルネ・サントノ。以前から時々飲んでいるけれども、直近で飲んだ2011年モノは購入経路が怪しく、2011年で、中身がかき氷みたいに水っぽくてたいしてうまくなかった。今回は広島のリカーショップヒラオカさんのところで買った2009年モノなので滅多なことはないはず。一か月ほどボトルを立てて待機したうえで挑戦してみることにした。
 
まずコルク抜栓。今回のコルクは実に堂々としたもので、コルク裏面も綺麗な深い紫色をしている。液面は適度な濃さのピノ・ノワール。香りは初手から甘い、黒系果実を連想させる芳香があたりにぶわっと広がる感じ。
 
口に運んでみると、黒系果実の香りにふさわしい味が、ジャミーと言って良いほどの密度で来て、酸味の裏にコーヒー系のコクが伴う。もう少し違った向きだと、ジュヴレ・シャンベルタンやクロ・ド・ラ・ロシュみたいなテナー系の雰囲気になるのだけど、そこまで偉そうな雰囲気ではない。ヴォルネとしてはかなり膂力がある感じ。でもって、それから30分ほどは渋みだけで味の乏しい、すんごく閉じて堅いワインになってしまった!香りもぜんぜんしないぞ! えらいことになった、と一時間ほど放置してから再開。だんだん黒系果実が戻ってきて、飲み心地が強まってきた。しかしこれは力強い。たとえば2001年の同じ銘柄と比較すると、良くも悪くも果実味が目立ち、ヴォルネよりも北(コート・ド・ニュイ)のピノ・ノワールなんじゃないのと言いたくなる雰囲気がある。ところが一時間以上経過すると、煮豆、イチゴのかき氷、べっこう飴あたりが虹のように現れる面白いワインになってきた。石灰岩か大理石かわからない、石っぽさも帯びている。うひゃー、これは旨い、面白い。そして過去に飲んだ同じ銘柄の事々が一気に思い出されてきた。2時間目あたりから、新緑の季節に木の枝を引きちぎったような精気も宿る。でもまだ早飲みの気配。熟成はまだ先か。ううむ、息の長いやつだ。まだ2015が残っているので、そっちは思いっきり寝かせてから飲もうと決意を新たにした。
 
※二日目。ちょっと米っぽいニュアンスが宿っているかも。
※三日目。酸味は増えず、なんだか円やかな口当たりになり、重厚、というより軽快な感じになった。こっちのほうがヴォルネっぽいと感じる(サントノは厳密にはヴォルネの例外ではあるけれど)。この三日目の姿が個人的にはお気に入り。
 

【2309】Sarsitano Vino Rosso (N.V.)

 
モダヴィン サルシターノ ヴィーノ ロッソ
 
このワインは、楽天で580円ぐらいの価格がついている、すごくデイリーワインな感じのイタリア赤ワイン。産地はロンバルディア州とあるけれども、品種はランブルスコやサンジョベーゼといった気楽系イタリア赤ワイン品種がずらずらと。度数もちょっと低めの10.5%なので、テーブルワインとして気楽に飲める予感がする。
 
とりあえずグラスへ。見た目は、ちょっと赤茶色がかった、何の変哲もない赤ワイン。香りは、クラシコのつかない、量販型のキアンティに近い。そこに、柏餅みたいな香りが混じって結構それらしい。いいじゃないか。
 
口をつけると、うん、酸味がしっかりしていて酸っぱサクランボみたいだ。タンニンは軽く、ワインのボディも軽い。そしてすこーし青臭いかもしれない。とはいえ青臭すぎていやになっちゃうほどではなく、酸っぱサクランボ風味とよくマッチしている。軽い赤ワインといえばボジョレーヌーボーを思い出すけど、あちらよりも青々としていて、バナナみたいな風味に流れることもない。いや、これうまいよ。軽々と飲め、食事に合わせるにもバッチリ。デイリー赤ワインとして、なかなか気の利いた態度だ。とはいえ、一日で飲める量ではないので残りは翌日へ。でも、こういうワイン、翌日はおいしくなくなっちゃってるだろうなーと覚悟はしている。
 
※翌日も、酸っぱく、少し青々とした雰囲気は変わらない。ただ、少しガサガサとした飲み心地になったし香りが弱くなった。この価格帯ならやむなしではある。

【2308】Banfi Brunello Di Montalcino "Placido" 2005

バンフィ ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ プラチド 2005
 
このワインは、2020年の時点で十分においしく熟成していて、もう飲み頃は過ぎていると推測されるブルネッロ・ディ・モンタルチーノ。4000円を切っていて熟成期間充分、かつ柿っぽさの宿ったいい飲み物だったのだけど、なんと、これがまだ売れ残っていることが判明したので恐る恐る一本だけ買ってみることにした。夏が加速する前に飲んでしまおう。もし、うまかったらバンフィに敬意を表して格上のブルネッロを一本注文して寝かせるのだ。
 
まず抜栓すると、酒石酸がコルクの裏でキラキラと光っている。いい感じだ。で、抜栓した時から干し柿オレンジピールのような、ブルネッロ然とした香りが爆発する。見た目は、赤茶色のワインレッドでうまそうな雰囲気だ。香りは、その干し柿に加えて、トーンの高い揮発臭、醤油のような香り、ちょっとザラザラを予感させる甘納豆の香り、が猛烈にこみあげてくる。いやーこれ凄い。価格帯から想像できない高まりだ。
 
口に運ぶと、夕張メロンのようなとろーりとした熟成ワインの口当たりと甘味。タンニンはかなりなだらかになって、カフェオレのような後味とだいぶ溶け合っているような。ざらめのような砂糖がよぎるのも嬉しい。すごい、熟成ワインとしてバッチリの滑り出しだ。それだけに、息切れが心配ではある。でもいいよ、息切れしても、この一瞬のスタートダッシュがあっただけでもあんたはえらい。遥かに格上のワインたちが、この地平に一度も到達できぬまま果てていくことだってあるのだから。
 
※翌日。一日経って、メロンも柿もパワーダウンし、米ぬかみたいな雰囲気が強まった。それでも旨味はまだ衰えない。いやー凄い。初日が出来過ぎていただけで、二日目も基本、美味く、面白い。ブルネッロ、おそるべし! それともトスカニーのこの品の輸入状態が良いのか。驚きました。