北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1943】Dominique Piron Morgon Cote du Py 2015

 
モルゴン コート デュ ピ 2015 ドメーヌ ドミニク ピロン
 
 ボジョレーヌーボーの季節は逃してけれども、寒くなってくるとボジョレーの少し良いやつが欲しくなる。で、今回は贔屓にしているモルゴン地区のワイン、メーカーはたぶん初めて。
 
 まず見た目。これがボジョレー?というほど黒黒としていてちょっと不透明。ワインのあしも長く、粘性度が高いとみた。香りは、ボジョレーヌーボーとは全く異なった、香料全開、そしてアルカリ土塁金属、ちょっと金属っぽさを感じさせる土の香りがもわもわとこみあげる。ニスやマジックインキのような揮発性の高い香りがそれらの間をとりもっている。
 
 口に含むと、滅茶苦茶濃い!やたら濃度が濃い、というか押し出しの強い果実味が。舌にたっぷりと残る土類金属的、ミネラル的な後味も相まって、なにか果実味の棒を口のなかにねじ込んでくるような剛直さがある。口当たりにイチゴミルク的なやさしさがあるのだけれど、他方で香料のきつい風味と相まって、なんとも不思議な、しかし良い赤ワインにしばしば見かけるような調和がある(こういう調和は、具合の良いキアンティ・クラシコボルドーの赤に割とよくある)。この飲み心地の良さと土やミネラルのフレーバーのおかげで、ボジョレー系とはちょっと想像のつかないような、腰の据わったワインになっている。ひょっとして、2015年はボジョレーも当たり年なんだろうか。とてもいいです。
 
 ※二日目は、初日よりも香りも味もこじんまりとした感じになった。癖がない、とは言えるけれどもそれではこのワインの面白さは少なくなってしまうわけで、初日のほうがよかった。