北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2452】Domaine Faiveley Mercurey La Framboisiere 2020

 
ドメーヌ・フェヴレ メルキュレ ラ・フランボワジエール [2020]
 
このワインは、メルキュレの出来が優れているフェヴレが作っている、ちょっと格上のメルキュレ。一級でもないのに「モノポール」を名乗っているのだから随分偉そうだ。まあいい、酒杯に問うて詳らかにしてみようじゃないですか。
 
グラスに注いでみると、意外なほど濃くて黒っぽい。ブルゴーニュ赤、それも傍流にしてなんだこの黒っぽさ、濃さは。グラスのへりについたあしの長さはめっちゃ長く、なるほどあしの長さなんてあてにならないなと思う。が、チリ産のピノ・ノワールなどとはやっぱりぜんぜん様子が違う。
 
香りは、通常型のメルキュレの森っぽい香りは基本変わらない。が、通常型のメルキュレに比較して雨の日の森のような香りがして、鬱蒼とした雰囲気が初手からバリバリに感じられる。抜栓直後のベリーの香りも目立った。いいぞいいぞ。
 
口をつけると、うひゃあ甘酸っぱい! 通常型のメルキュレよりももう一回り愛嬌があるんじゃないだろうか。キュートな甘酸っぱさにおいて、こいつの右に出るワインはそれほどないんじゃないか? 後味の段になると、森っぽさ、それと少し杉の木やヒノキを連想させる木っぽさもよぎって、なるほどメルキュレには違いないんだなと納得もする。苦みもあるけど、まあとにかくキュートだ、甘酸っぱさだ、甘めのワインに厳しい人には軟派とみられるだろうけど、これはもう、名前からして軟派で構わないワインなのだからいいじゃないかと思う。脳を直撃するうまさで、直前直後に比較対象となる上位の赤ワインが出てくるのでない限り、華やかさと飲み心地の良さで幸せいっぱいにしてくれるワインだ。ワインにあまり慣れていない人に最上のワインを紹介するとしても、これは最有力候補になるんじゃないか。
 
※翌日は梅っぽい香りも強く帯びるようになってますます旨くなった。コート・ドールっぽくもあるかも。相変わらず、さまざまなベリーを頬張っているかのような風味は健在だ。香りは終始やわらかで人懐こかった。うまいワインだと思う。