北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2021】Domaine François Legros Saint-Aubin 2016

 
ドメーヌ・フランソワ・ルグロ サン・トーバン ルージュ [2016]
 
このワインは、ちょっと値の張るワインセットについてきた、サン・トーバンの村名格赤。メーカーは知らないところなので初対決。
 
グラスに注いでみると、ピノ・ノワールとしては中庸な色というか、赤茶色っぽくも青紫色っぽくもなく。それほど暗い感じでもない。香りは、すごくサクランボっぽいところに梅系の酸っぱい香りが尾を引くような、こいつ軽量級だなと印象づけられるものだったけど、グラスに鼻を突っ込んでクンクンやってみると隠しきれないチョコレートの香りが。
 
口に運んでみると、意外にも充実した果実味とコク、たとえばコーヒーみたいなフレーバーを伴っている。まだ若いうちに飲むせいか、タンニンが口のなかでテントを張るような、そういう感触もある。シャンボール・ミュジニーあたりと比べると、かなり獣っぽくて野生っぽい、荒々しいところを伴っていて、考えようによっては、そこらの平格ブルゴーニュ赤よりも飲みものとしては飲みづらいかも。そこはそれ、「一応サン・トーバンという格付けを背負っているんだからもう少し熟成を待て」なのかもだけど、このクラスのワインを熟成させるのは我が家のキャパシティーでは不可能なので、これはこういうワインだと思って飲むしかない。が、しかし、口のなかに広がる果実味にコクが伴うさまはいかにも滋養のありそうな飲み心地で、ちょっと荒々しくはあっても香りのスカラー量はかなりのもの。ワインから、木の枝を引きちぎった時のような精気がむわっと漂うこともあり、飲みごたえは十分! 自分で意識して買うには高いワインだけど、なるほど魅力のあるワインには違いなく、勉強になった。
 

【2020】Allendorf Winkeler Hasensprung Risesling Auslese Rheingau 2015

 
 このワインは、2015年につくられたラインガウ産のアウスレーゼ。3年前に飲んだことがあったけど、この一本はあまり良くない保存状態で(具体的には、ビンを立てたまま)3年放置していた。ので、長期保存をあきらめ、再び飲んでみることにした。
 
 グラスに注ぐと、ちょっと気泡の混じった、黄金色~少し緑色の混じったようなきれいな色。でも気泡はみる人によっては減点の対象なんだろうなぁ。香りは、カスタードがぶわんと来て、その奥にはリースリングのすがすがしい香り、台所洗剤やライムを思わせるグリーン系のさわやかフレーバーが残る。あとはグァバというか、貴腐ワイン系にありがちな、トロピカルな甘い香りも。
 
 口に含むと、カスタードの香りと甘さ、それと気持ちの良い酸味がきゅーっと来る。最近飲んだシュタインベルガーのシュペートレーゼと比較すると、こちらのほうがカスタードっぽさがあり、あちらのほうが立体感はしっかりしている。あと、気泡の影響かぷちぷちとした食感をこいつは伴っている。デザートワインとして十分ではあるけれども、アウスレーゼっていうよりシュペートレーゼなのでは、という感じはある。おいしくいただきました。

【2019】Cono Sur Sparkling Wine Brut (N.V.)

 
コノスル スパークリングワイン ブリュット チリ
 
 チリのお買い得ワインメーカー、コノ・スルの品は色々と飲んでいるけれども、スパークリングを飲む機会はあまりない。以前、このブリュットは某ワイン旅館でウェルカムドリンクとして登場したことがあり、その時は結構おいしかったと記憶している。さて、自宅ではどうだろう。
 
 まず、グラスに注いでみると、意外に白っぽいというか薄い。まあでもいいんじゃないか。泡はごわごわとしっかり立ち上っていてなかなかに立派。水面には白い泡がたくさん立っている。香りは、あまりはっきりしない。
 
 口に運ぶと、青りんごのようなすかっとした酸味と果実味が口のなかいっぱいに広がった!酸味が強いのに隠れているけれども、このワイン、甘味もかなりある。糖度を測ったら結構高いんじゃないだろうか。しっかりとした苦みを伴っているので、スパークリングワインとしての体裁はなんちゃってシャンパンという雰囲気、イタリアのスプマンテのようなヨワヨワ軽量系とはわけが違う。苦みと青りんごが溶け合って、りんごの芯の風味がこもっているようでもあるけれども、それもまた一興。わずかにパンのような気配すら漂う? うーん、やるじゃないかコノ・スル。隠れたお買い得品では。

【2018】Cusumano "Disueri" Nero d'Avola 2018

 
ディズエーリ ネロ ダヴォラ 2018 クズマーノ
 
 このワインは、前回飲んでちょっとびっくりしてしまった、シチリア産のネロ・ダヴォラ。ネロ・ダヴォラはシチリアの土着品種だけど、最近は他所でも少々つくられているとのこと。ともあれ、このワインは手堅いリピート品候補として二度目の登板(前回はこちら)。
 
 見た目は、黒々としたワインレッドで、この品種としてはカラースペクトルが青色がかっていない、ちょうど紫色といった色調。香りは、チョコレートにトーンの高い梅香を混ぜ合わせたような、鼻息の荒いやつがくる。それでいて、このワインには森の下草みたいな雰囲気も伴っていてなかなかに凝っている。
 
 口に運ぶと、ぎゅーっと梅系の甘酸っぱさが来るのだけど、ちょっとこしあんみたいなざらっとした口当たり。でもって、梅の酸味が舌の上にしっかりと残って、それが飲み干した後も余韻となって残る。前回はざらっとした口当たりとは書いてないけれども、今回はタンニンがどうこうというより、こしあん。果実エキスが濃いというか、ワインにぺらぺらしたところがなくて飲みごたえも十分にある。この価格帯としては手を抜かず、楽しみ甲斐があちこちにある良いワイン。
 
※二日目。なんと、草食動物の排泄物のような、それかキノコとかそっち方面のような、すごい香りが来た!口当たりは初日よりマイルドながら、香りがとにかくすんごい。この価格帯のワインでこういう雰囲気なのは瞠目に値する。すばらしいです。
 

【2017】Domaine la Bazillere Muscadet Sevre et Maine Sur Lie 2018

 
Domaine la Bazillere Muscadet Sevre et Maine Sur Lie
 ※リンク先は現行ヴィンテージです
 
 このワインはワインセラータカムラさんのワインセットについていたミュスカデ。ミュスカデはあまり得意ではないのだけど、暑くなってきた日には割と良かったと思うので、冷やしていただくことにした。
 
 まず見た目。ちょっと緑色がかった、気泡も混じった白ワイン色。気泡をのぞけば薄くて普通な白ワインだ。香りは甘い白ブドウ、まさにマスカットで、へんな生臭さもなく、いい感じ。生臭くないならとりあえずいいと思います。
 
 口に運ぶと、うーん……ちょっと冷えが足りないせいか微かに生臭さがあったような。それでも、すっきりとした飲み心地でマスカットの辛口ワイン版という感じはある。ラムネや炭酸系の爽やかなを伴っていて、暑い日の夕にいただくワインとしては結構いけている。

【2016】Ilocki Podrumi Kapistran Crni 2017

 
Kapistran Crni Classic Ilocki Podrumi
  
このワインは、クロアチアでおいしい白ワインをつくっている作り手の、赤ワイン。ボトルサイズが1lと大きいので、いわゆるハウスワインなんだろうと思う。だとしたら、いったいどんなワインなんだろう? 品種も何も確かめずにレッツトライ。グラスはボルドーグラスを使ってみることにした。
 
まず見た目。なんかすごく普通の赤ワインだ。濃すぎず、薄すぎず、赤茶色にも青紫にも偏らず。まずまずの透明度。香りは……梅系の香りがするんだけど、スペイン産の赤ワインやシチリアの赤ワイン、北イタリアのバルベーラあたりともだいぶ違う。梅にサクランボのキュートな香りが溶け合っているような……。でもいい香りだぞ。
 
口をつけると、くっきりとした果実味で、梅っぽい酸っぱさにサクランボ的なキュートな甘さがある。こってりと甘いのでなく、さっぱりと甘い。タンニンはあまり強くなく、近しいワインとしては、北イタリアのヴァルポリチェッラやバルドリーノあたりが連想される。新鮮さが身上の赤ワイン! こういうのも好き。すごいワインではないかもだけど、ゴテゴテとした高級ワインにはない趣がある

 
※二日目は、初日よりも果実味が深まったと感じる。初日とは少し顔つきがちがって、これは楽しい。まだまだ残っているので三日目もみてみよう。
 
※三日目は、少しばかり酸味が強まったかも。顔つきが少しずつ違っているのは嬉しい限り。