北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2255】Chateau Citran 1996

Chateau Citran [2011]
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
このワインは、シャトー・シトランというボルドーメドック産、ブルジョワ級のワイン。ただ、これはブルジョワ級のなかでも上位クラスとされているのと、とにかく旧いのが特徴。だって1996年ですよ? このクラスのワインをここまで熟成させるのはなかなかできることじゃない。
 
見た目はこの年齢でもぜんぜん黒々している。光の透過性もあまりない。香りは、前にメオ・カミュゼのフィサンをどかどか飲んだためにちょっと鼻が馬鹿になってしまっていたせいかあまり印象残らず。で、口に運ぶとするすると飲め、こなれたタンニン、ちょっとミントっぽさがあるかもしれない。これを飲み始めた時に、ちょっとおもしろい話に気を取られてしまってワインがおろそかになってしまったので、せっかくなのにあまり印象に残らないでしまった。これはワインには申し訳ないけれども、おもしろい話は避けるわけにはいかないので、しようがなし。
 

【2254】Meo Camuzet Frere et Soeurs Fixin 2009

メオ・カミュゼ フィサン 2009
 
このワインは、結構あてにしているメオ・カミュゼのフィサン。値上がりはしてしまったけれどもそれでも気安さがあって頼りになる。で、こいつは2009年モノ。
 
色はブルゴーニュ赤としてはまずまず濃い感じかもしれない。で、香りは香料のようなやつがばーっときて、バラ系香水ではなく、もっと紫色っぽい香水をイメージさせるやつが来る。香料系でも、なんだかほっこりしているのだ。でもって飲み心地はジューシーでふっくらしているおかげで、ついついと飲めてしまう。そういえば、去年も同じ時期にこいつを飲んだのだけど、当時とそれほど印象は変わらない。絢爛さはないけれども、飲むと幸せになれる、大地に根差した系のブルゴーニュ赤だ。
 

【2253】Cono Sur Reserva Especial Merlot Reserva 2019

 
コノスル  メルロー レゼルバ 2019
 
このワインは、チリ大手・コノスルが作っているメルロー。ここのワインの名前はコロコロ変わるのだけど、たぶんこれは従来から下から二番目のリゼルヴァクラス(以前はそうじゃなかったけど、最近、コノスルは一番安いクラスにまでリゼルヴァと銘打っているのでわかりにくい)。以前にこれに相当するクラスのものを呑んでないか検索したら、2012年に一度、対峙していることがわかった。9年も前なので、なんにも覚えていない。
 
まず色。すごく普通。黒っぽくて、赤茶色にも青紫色にも傾き過ぎない、そんな感じの色だ。においを確かめると、あまり香ってこない。冷えすぎているんだろうか。甘い果実の香りはあるのだけど、メルローにありがちなピーマンが迫ってくることはない。
 
口に運んでみると、ここにピーマンがいた。いやピーマンに比べるとトマトに近い感じ、それか野菜炒め(から油っぽさを取り除いた)みたいな感じか。なんか、よくあるメルローよりベジタブルな印象を受ける。9年前、「ミントのような爽快さ」と書いていて、言われてみればそうかもだけど、この場合、ミントも野菜炒めのなかに溶け込んでいる感じで、やはりベジタブルだ。カフェオレみたいな風味もあるけど、これもまた野菜炒めに合流している。なんだこれは。いや、案外旨いしまずまず飲みやすくもあるんだけど、ちょっと不思議な感じだ。狙ってこうなっているのか、それとも自分の舌が馬鹿にでもなっているのか。いくらか飲み進めてもこの野菜っぽさが残っていて、自分は悪くないと思いました。嫌いな人は、いるかもしれない。
 

【2252】Sportoletti "Villa Fidelia" Umbria Rosso 2015

 
ヴィッラ フィデリア ロッソ 2015 スポルトレッティ
 
このワインは、販売元のトスカニーによれば「ウンブリアのサッシカイア」などと評されているという、ウンブリア州でつくられた国際品種ワイン。アルコール度数はすこぶる高く、なんと15%。この時点でサッシカイアとは違った何者かじゃないかと突っ込みたくなるけど、それだけ意気込んで作られたワインなんでしょう。
 
ボルドーグラスに注ぐと、黒々としてわずかに赤茶けたカラースペクトル。透明度はかなり低く、光で透かしてもなかなか通らないほど。香りは、初手では杉の木系入浴剤のような香りにわずかにピーマンがよぎる。少し土臭く、なんかへんな軟膏みたいな香りがする。このワインブログではイタリアワインに「軟膏のような」という表現をよくあてていて、特にキアンティ・クラシコ系に用いるけれども、これは少しにおいの方向性が違っている。
 
口に運ぶと、うっわ大柄なワインだ!とにかく巨大、雄大と言っていいのか? 口のなかいっぱいに果物が、いや果物以前に何かが広がっていく。タンニン由来か? しかしタンニンの口当たりは粗野というでもなく、意外にしっとりしている。そのタンニンに飴みたいな甘いエッセンスがくっついていて、それが口のなかに塗りたくられてゆく。これが結構スケール感があっていい。ふーむ、サッシカイアかどうかはともかく、確かにこのスケール感は捨てがたいし、ただのでかぶつではなく、旨味や甘味や構成もあるっちゃあるようにみえる。
 
※翌日。なんだかメッキがはがれちゃったぞ。まずくはないし、イタリア的な明るさのあるワインなのだけど、あのスケール感とタンニンと飴の融合感は去ってしまった。これは素性が卓越わけではない、ということなのかもしれない。
 

【2251】Domaine Marquis d'Angerville Volnay Premier Cru 2014

 
ドメーヌ・マルキ・ダンジェルヴィーユ / ヴォルネイ・プルミエ・クリュ [2018]
※リンク先はヴィンテージが異なります。
 
このワインは、かつては結構リピートしていたけれども価格高騰により買わなくなったヴォルネの作り手、ダンジェルヴィーユの1級。この、畑名の入っていない1級は比較的早く飲めるもので価格的にもワンランクやさしくなっている。もう長らく飲んでいなかったダンジェルヴィーユは旨いと感じるのだろうか。
 
抜栓。うっわ、薄い!ヴォルネ本来の、ロゼ寄りのうっすらとした、赤茶色っぽい色合い、これこれ、こういうのを待っていた。香りはチョコと花の香りがメインながら、あまりきつく香るでなく、少し前に飲んだラファルジュの村名格に似ていると感じる。
 
口をつけると、もう、超ライト級のこれまたヴォルネらしいスタイル。タンニンも軽く、果実味も押してくる感じじゃないにもかかわらず、口のなかでの存在感はかなりのもので、軽いながらも余韻は結構長い。香りに近い、かわいいサクランボ系の香りが漂うのだけど、前日に抜栓した他社のコート・ド・ボーヌ・ヴィラージュと比較すると素性の良さは疑うべくもない。二口目にはローソクの香りがよぎり、くせの少ないメロウな風味がじっと口の中に残る。で、同じヴォルネのプス・ドールと比較すれば、こちらのほうが軽々としているのにこちらのほうがワインの中空に果実味もコクもある。飲み進めるにつれ、華やかな香りがパーッと広がって素敵な雰囲気になってきた。
 
ううむ、これはいい一級。ここの一級は軒並み値上がりしてしまって上位陣を買うのは諦めてしまったけれど、このただの一級はそれほどひどくないので、リピートしてもいいかも。特級に伍するほどの品ではないけれども、他の作り手のヴォルネと飲み比べるにはちょうど良いクラスかも。
 
※翌日、なおもコート・ド・ボーヌ・ヴィラージュの残余と比較しながら。こちらのほうが香りが上品で軽快、トーンが高いのだけど、それだけに、やはり押し負けているきらいがある。性質の違うワインとはいえ、あちらの良さも印象に残る。
 

【2250】Denis Carre Bourgogne Hautes Cotes de Beaune La Perriere 2018

 
ドニ・キャレ ブルゴーニュ オート・コート・ド・ボーヌ・ルージュ ラ・ペリエール [2018]
 
このワインは、ウメムラさんのブルゴーニュ赤詰め合わせセットに入っていた、見知らぬブルゴーニュ赤。いや、本当は「コート・ド・ボーヌ」なので完全にジェネリックブルゴーニュ赤ではないのだけど。初顔合わせ。
 
まず見た目。やや薄目の、透明感のある赤ワイン。ピノ・ノワールとして矛盾しない。香りは、びっくりするほどフルーティー。サクランボといった調子なのだけどあまーい飴でコーティングされているようなところと、ギュッと甘味が凝縮しているような香りを放っている。しばらく待つと、そこに革や木の皮みたいな野趣あふれる香りが伴う。このクラスなら、これはこれでいいでしょう。
 
口に運んでみると、結構これが硬派、というか革や木の皮みたいな風味がしっかりと溶け込んでいる。苦みとざわざらタンニン、香りに比べて控えめな甘味、それらの結果として存外まとまっている。華やかさには欠けるけれども実直な森系のブルゴーニュ赤だ、こういうつくりは結構好きだ。
 
※翌日は、ダンジェルヴィーユのヴォルネ一級と対峙して、さすがにそれに比べると可憐さ、上品さが少し足りないけれども、森くさいワインとしての存在感をよく示し、飲み比べに耐えられる程度には頑張っている。勝てるほどではないけれども、長所がかなり違うワイン同士というのもあって、楽しい比較となった。
 
※翌々日。パクチー!なんとパクチーレモンバームみたいな香りがする。森のような香りが残っているのもまた良い。ダンジェルヴィーユのヴォルネ一級となおも渡り合い、やはり良い勝負をしている。もとよりあちらは勝負に弱い酒質なのでそうなるのは仕方ないのだけど、天晴だ。