北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2182】Domaine Michel Lafarge Volnay 2016

 
ミシェル・ラファルジュ ヴォルネ 2016
 
このワインはヴォルネでは頼りにしている作り手のひとつ、ミシェル・ラファルジュのもの。ただしこれは村名格、一級ではない。この、一級ではない村名格のヴォルネっていいといえばいいけれども驚嘆するほどじゃないってイメージがある。ラファルジュが作ってもたぶんそれは変わらないように思う。
 
まず見た目。ブルゴーニュの赤としてはすごく普通の、少しオレンジ色がかった薄目の赤。で、香りを確認すると、初手では薔薇の香りがぶわーんとする。すぐ後には桜の香りも。あれっヴォルネってこんなに派手な花の香りってあったっけ? と不思議に感じる。
 
口をつけると、さくらんぼ風味が炸裂し、飲み心地はさすがにヴォルネだけあって軽め。サクランボ、薔薇、桜の香りの向こう側からローソクのような有機系・アルコール系の香りが漂ってくる。最近飲んだ他のワインとの比較でいえば、プス・ドールのヴォルネ一級カイユレ2009との比較では果実味がちゃんと中空までしっかりあって、プス・ドールのあれが一大弱点であることがわかる。リシャール・マニエールのブルゴーニュ赤と比較すると、森っぽい香りとジャムっぽい果実味の迫力で劣る。では、そんななかでこのワインの取り得は何かと言ったら……なんだろう。軽さだろうか。ヴォルネだから軽さが身上ってのはわかるけど、実のところ、ラファルジュのヴォルネはよそのヴォルネ(たとえばレイヤンヌ・エ・パスカルとかダンジェルヴィーユとか)に比べると、そんなに軽々してる感じじゃなかったりする。あるいは早飲みのせいなのか、あるいは2016年がそういうヴィンテージなのか。
 
こういうときは、しばらく待ってみるしかあるまい。しばし放置。放置してもやはり、薔薇と桜の香りが炸裂している。あれっヴォルネってこういうワインだったっけ? これはこれで派手な飲み心地ではあるけれども。ところが気が付くと飲み心地がどんどんよくなってきた。飲むときの抵抗感がぬけてくるというか、摩擦ゼロ、酩酊も微小な感じで飲めてしまう。あれっこのワイン、飲めば飲むほど(良い意味で)軽くなっていくぞ? 気が付くとだいぶ飲んでしまっていた。怖いワインだ、風味絶佳な一級とはまた違った魅力があり、良い経験となった。
 
※翌日に残りを飲んだけど、昨日ほどには軽くなかった。なんにせよ、このヴォルネはすこぶる飲み吟醸だったので、ワインが好きな人とワイン以外の話題で談笑しながら飲むとさぞ気持ち良いだろう。