北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2477】Joseph Faiveley Blagny 1er Cru "la Piece Sous le Bois" 2017

 
ブラニィ プルミエ・クリュ ラ・ピエス・スー・ル・ボワ [2017] フェヴレー
 
このワインは、ブルゴーニュ赤の大手ネゴシアンであるフェヴレが作っているブラニーの一級。フェヴレは大手ネゴシアンのなかでは赤が手堅く、そのブラニーはいかにも地味、華やかなブルゴーニュっていうより肉料理の相棒といったイメージが沸く。以前、2017年モノと対峙したことがあって、そのときは満足のいく品だった様子。今回は、さあどうだろう。上掲リンク先よりだいぶ安い価格で手に入ったものと対峙。
 
まずはグラスへ。色は、赤茶色のうっすい感じ、これぞブルゴーニュピノ・ノワール、それも古風な感じのやつだ。最近はボルドー顔負けにどろどろと黒っぽい品が多いなか、懐かしい感じがする。香りは、木材の香りにアセロラ系の果実、そこにチョコレートを添えたような感じですこぶるうまそうだ。夕張メロンとキノコの気配が伴い、それなりの熟成と、それなりの複雑さを伴っているように見受けられる。結構鼻の奥まで突き抜けてくるぞ。
 
口に運んでみると、目の覚めるような酸っぱさがキューン!と来た。まるで2007年や2008年のブルゴーニュ赤みたいに酸っぱいぞ。香りに対して細身で、ビターを伴い、コクがきゅっとある。いつもみたいにコーヒーの風味……と譬えたくなるけど、少なくとも並みのコーヒーよりずっと深みがあって酸味の強さとコクのきゅっとする感じが素晴らしい。一般受けするワインではないかもだけど、散漫なところがなく、華やかではないかもしれないけれども上位のブルゴーニュワインと並べて出されてもみすぼらしい姿というより「ブラニーだからこうだよね」で済ませてもらえそうな、そういう丁寧さがある。苦みと酸味のもとで飲むこのワインにキノコの風味が差し込むと、これがなんともいえない趣になってたまらない。ブラニー、ワイン会などではまったく受けなさそうなワインだけど、自宅の食卓で飲むぶんには下手に派手なワインよりよほど付き合いやすく、それでいて一級のクオリティは確かにある。そのかわり、誰にでも気持ちの良い&派手さのあるおもてなしに関しては、名のある作り手の平格ブルゴーニュ赤と比較しても劣るかもしれない。
 
※翌日。ミシェル・ゴヌーのポマール一級リュジアン(バ)2012の後の登場。すると、きのこを胡椒で炒めたみたいな香りに甘草みたいなあまーい香りが伴い、これまた美味そう。ポマールより円やかでゆったりとしていて、スケールと複雑な発酵臭では劣るものの、このワインの魅力を存分に発揮しぜんぜん見劣りしない。こちらも一級だけあってある程度気骨のあるつくりをしているためか、だらしないとか集中力が乏しいとかいった品格の乏しいあの感覚がほとんど伴わない。してみれば、このワインは内実に比べてまだ知られていないように思われ、ヴォーヌ・ロマネやらジュヴレ・シャンベルタンやらの華やかさ・絢爛さを期待するのでない限り、こういう品で十分ではないか、と思われた。