北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2512】Domaine Michel Gaunoix Pommard Grands Epenots 2017

 
ドメーヌ・ミシェル・ゴヌー ポマール 1er グラン・ゼプノ [1997]
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
このワインは、セラー被災によって叩き出されたミシェル・ゴヌーのポマール一級、グラン・ゼプノ。メーカーといいポマールという土地柄といい、寝かせて飲むのが良さそうなボトルなのに、被災に際して最も激しく吹きこぼれたのはこのボトルだった。そのため液面が通常より下がってみえている。なので、泣く泣く抜栓と相成りました。
 
まず見た目。これぞクラシックスタイルのブルゴーニュピノ・ノワールといわんばかりの、すこし淡くてあずき色の、あまり濃くない赤ワイン。薄いつくりのヴォルネなどに比べれば濃いかもだけど、今日のブルゴーニュ赤のなかではかなりの薄さ。香りは、アセロラとチョコの香りなんだけど、いつものチョコに比べると随分と濃い。古タイヤみたいな香りがして、つまりこのチョコ、トリュフ入りチョコに例えたくなるようなごついにおいを伴っている。
 
口に運んでみると、うわっ酸味がえらい立っているぞ! 最初に来たのは酸。それこそアセロラドリンクの酸っぱさをもっと酸っぱくしたようなやつだ。そこから濃いエキス成分というか、トリュフ入りチョコみたいなコク成分ががつんとこみあげてくる。同じメーカーのリュジアン・バ(2012)と比較して、こちらのほうがタンニンは軽く、鉄砲漬けみたいな強烈な発酵風味は伴っていない。そのかわりこいつは古タイヤや、ちょっとオリエンタルな香料っぽさ、それと肉料理っぽさがある。かと思えば、異様にミルキーでキャンディーな展開やおてんば果実たっぷりモードもよぎったりする。後半になると、リュジアンと共通する、鉄砲漬けや味噌田楽のような風味が伴うようになり、さらに薔薇香水の風味まで展開した。これは……ちょっと並みのワインではないぞ!
 
痛んでいるいないの当否でいったら、間違いなくダメージ経験のあるボトルだろうけど、それでも非常に美味く、面白い。リュジアン・バとの比較でいえば、好みは間違いなくこちらで、価格もこちらのほうがまだマシなので、機会があったら買い求めたいのはこちら。近いエリアのワインでは、やや方向性は異なるもののコント・ラフォンのモンテリ一級デュレスが近いかもしれないが、こちらのほうがヤンチャで顔貌の変化が大きい。方向性が一層異なるのを前提に言えば、比較させるべきは同じコント・ラフォンでもヴォルネ一級サントノあたりじゃないかとか。堪能しました。
 
※翌日は鉄砲漬けのような風味や薔薇香水が引っ込んで、ちょっと弱くなった。抜栓したら初日に少し欲張って飲んだほうが吉かもしれない。とはいえ二日目も飲みごたえはあって、それでいて付き合いやすさはリュジアン・バより上。