北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2191】Fantini Gran Cuvee Bianco (N.V.)

 
ファンティーニ スプマンテ グラン キュベ ビアンコ NV ファルネーゼ
 
このワインは、ファルネーゼが手掛けているブランド「ファンティーニ」が作っているスプマンテ。ところがこのスプマンテ、ボトルがスワロフスキーとのコラボだそうで、サイトによれば優れたシャンパンであるルイナールと同一なんだそうな。ルイナールはとてもおいしいシャンパンだったけど、値段が高くなってしまい最近はぜんぜん飲めていない。
 
それと、このワインは土着品種ココチオーラでできているとある。イタリアワインたるもの、土着品種は歓迎するっきゃないですね。この品種は聞いたこともないので、そういう点でも楽しみ。
 
まず見た目。まあまあレモン色のスプマンテで、泡の立ち上り具合はなかなか。香りは爽やかなライムやレモンに近いやつに、少し花畑っぽいフレーバーがついている感じ。口に運ぶと、オレンジとびわをミックスさせたような甘味だ。後味にびわみたいな(良い意味で)瑞々しく、果肉系果物っぽい後味が残るのがいい。この後味、人によっては桃とパパイヤの中間みたいに譬える人もいるかもしれない。桃ミックススパークリングワインの、ベリーニの後味に似ているところがあると言えるかも。酸味はそれほどきつくなく、この後味とミックスされて柔らかいアフターをかたちづくっている。なるほど、シャルドネで作られたスプマンテともプロセッコみたいな酸っぱい系とも違った、ちゃんと差別化されたスプマンテだ。結構上物。ちょっと変わり種の品が欲しい人にはおすすめ。
 

【2190】Domaine Bart Fixin Hervelets 1er Cru 2008

 
www.vinica.me
 
このワインは、ブルゴーニュ北部・コート・ド・ニュイの一エリアであるフィサンでつくられた、知らない一級畑の知らないメーカーのワイン。2008年はヴィンテージ的には弱いので、ちょっと見当がつかない。
 
まず見た目。この年代のブルゴーニュ赤にしては濃いかもしれない。少なくともメチャクチャ輝いているような作りではない。香りを確かめると、なんと香料みたいな凄い香りがもうもうと立ち上がってくる。違う地域のワインだけど、(ローヌの有名作り手である)ボーカステルのしっかりした熟成ワインのような、なんと言えばいいのかわからない、でも高そうな香料の香りだ。それが曇りなく迫ってくるのだから驚き。すげー!
 
口に運ぶと、こちらはフィサンめいていて、タンニンがしっかりしていてざらっとしている。お隣の、はるかに高価で有名なジュヴレ・シャンベルタンのワインと比較すると、テナーが効いていなくて格下という印象は否めない。でも、それがどうした! フィサンでこれだけ芳香を放っていればケチなんてつける気にもならない。全身に香りが行き渡るようだ。
 
旨くて香り高くて、ついつい飲み進めてしまう。すると今度は酸の効いた果実味の飲みやすさが浮き彫りになる、どんどん飲めてしまう。あー、これは飲み吟醸でもあるのか。酸がつるりとしているからいくらでも飲めてしまいそうだ、というか進んでしまう。まさかフィサンでこれほどの出来映えとは思わなかった。2008年は酸っぱさの目立つヴィンテージだったけど、そのあたりもこのボトルでは幸いしているのかな。
 

【2189】Dom. Robert-Denogent Pouilly Fuisse la Croix v.v. 2016

 
ドメーヌ・ロベール・ドゥノジャン マコン・ヴィラージュ レ・サルディーヌ
 
※上記リンク先は、ヴィンテージが異なり、またマコン産です。
※このワインのはっきりとしたリンク先は、2021年現在、こちらです。
 
このワインは、ブルゴーニュ地区のなかでは南のほうのプイイ・フィッセでつくられているシャルドネ。このエリアは我が家では完全に無視されているので、これは貴重な対戦になる。
 
まず色。黄金色をしていて輝くようだ。最近に飲んだムルソーたちより黄金がかっている。香りは、台所洗剤系の芳香がドカンと広がる。みずみずしい感じだ。
 
口に運ぶと、爽やかで酸味のしっかりとした、少し南のシャルドネっぽさがある。フルーツみがあり、少しメロンに近い。こうした姿から連想されたのはカルフォルニアのカレラのシャルドネだ。あれに似ているけどこちらのほうが節制が効いていて、旧世界的、フランス的だ。マコンにも似ているかもしれない。
 

【2188】Maison Dominique Laurent Bourgogne Cuvee Numero 1 2017

ブルゴーニュ キュヴェ ヌメロ(ニュメロ)1(アン)2017年 ドミニク ローラン
 
このワインは、マルサネ村のワインとコート・ド・ニュイの村名キュヴェを80%ほどブレンドしたと書かれている。作り手はドミニク・ローラン、すごく好きでも苦手でもない作り手。
 
グラスに注いでみると、少し赤茶色がかった、濃すぎず薄すぎずなピノ・ノワール色。特記すべきことなし。香りは、意外にも香料系の香り(たとえばこのときのフレデリック・コサールのポマールから発せられたような)がただよってくる。生意気だ! ただそれだけでなく、少し革っぽさが伴っているし葡萄酒然としたフルーツの香りも混じっている。
 
口をつけてみると、香料系の香りとともに苦みも伴う。が、許容範囲で果実味がどっさりしている。おなかが減っていたのでグリルチキンやトマトスープとたちまち一緒に飲むようになったけど、このワイン、単体では美味いのだけど料理に勝ってしまっているきらいがある。どうも苦みと果実味が料理を圧している模様(酸は適度でいい)。これは平格、ブルゴーニュルージュなのだから、高級フレンチでなければ伍することができないじゃなく、おうちごはんと付き合ってくれて欲しいなぁと思う。合間に米ぬかっぽいフレーバーが混じったりフルーツが爆発したりして楽しくもあるけれど、単体で楽しんでいる時のほうが落ち着いて付き合える。けっして悪いワインではない、むしろおいしい品なんけれども、ちょっと上を向き過ぎなんじゃないだろうか。あと、このおいしさは平格ブルゴーニュ赤じゃなくてもできそうなおいしさかも。ブラインドテイスティングだと「洗練された作り手のグルナッシュ」とか「日本でつくられたメルローの熟成したやつ」とか答えて恥をかきそうだ。
 
で、食事が終わってワインと一対一になってみると、とたんに例の香料風味がふわーっと前に出てきて体裁が立派になる。やっぱり生意気なワインだ! 果実味も、平格ブルゴーニュとは思えないほど集中力を獲得していく。自分はこういうつくりの平格ブルゴーニュ赤に納得のいかないものを感じますが、「平格ブルゴーニュ赤っぽくない平格ブルゴーニュ赤」を望む人には適したワインだと思う。
 
※翌日は少し酸味が強くなり、飲みやすくなった。それでも果実味がかなり強く、香料風味が残っている。でもって舌ざわりはざらざら。「平格ブルゴーニュ赤っぽくない平格ブルゴーニュ赤」らしさは変わらない。
 

【2187】Graham Beck Brut (N.V.)

 
グラハム ベック ブリュット
 
まず見た目。スパークリングワインとして典型的な、うっすら麦わら色をしていて泡がたくさんたちのぼってくる。香りは、ふっくらとトースト・メレンゲ系の甘い香りが漂ってきてうまそう。
 
口をつけると、しっかりとした苦みと微かな漬物系フレーバー。そしてのどごしの良い泡と、が気持ち良い! いやー、やっぱりこのワイン、重量系シャンパンのなんちゃって版として美味いよ。すだちや夏みかん系の軽快な泡ではなく、グレープフルーツと漬物で魅せるどっしり版の泡として、やっぱり信頼できる。これが2000円を切っているのだからお買い得だ。いろんなワインを試したい勢じゃなく、確実にコスパを求めたい勢には強くおすすめできるワインだ、あと、このワインを基準点に「重い泡」「軽い泡」を見比べるのもいいかも。このワインは「重い泡」に寄っているので、たとえばシャンパンのマムあたりも「軽い泡」と感じられるかもだけど。

【2186】Duckhorn "Decoy" Cabernet Sauvignon 2018

 
ダックホーン デコイ カベルネソーヴィニヨン 2018
 
このワインは、まだ飲んだことのないメーカーのカベルネソーヴィニヨン。ここのメーカーはトップキュベでもそれほど値が張らないうえ、ラベルに鳥が張ってあるので追いかけてみたさはある。今回のデコイが好成績だったらもっと上位を試してみたいところ。(ところで、このメーカーのワインは楽天ショップによって値段のばらつきが結構激しい。どれぐらいが相場なのか、なんだかよくわからないワインでもある)
 
色は、僅かに蛍光色がかっているようにもみえる、濃いワインレッド。濃いのは間違いないのだけど、どこか明るい。そう見える理由はグラスのへりが僅かに青紫系のカラースペクトルになっているからかも。香りは、ほどよく甘いプラム系で、スギやヒノキ系の入浴剤みたいな香りがある。
 
口に運ぶと、甘くてふんわり、それとプラム系の酸味のきいた味。ボルドーの安いやつと比較すると、果実味がしっかりしていて甘みが強く、あとミントが効いている。香りの次元で入浴剤と感じられるものが、口に運ぶ際にはすーすーとした気持ち良さになっているみたいだ。鎮静力がないようである。それでいて果実味に厚みがあるので飲みごたえはなかなか。甘みの波長があう人には結構高く評価されるワインじゃないかと思った。
 
※二日目。甘みの強さが少し弱まり、自分にとって快適な水準に入ってきた。ありがたいありがたい。今日は夕食が完全なイタリアンだったのだけど、チーズやパスタや生ハムといった面々を相手にしても具合良い感じだった。