北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2319】Domaine J.Cacheux Bourgogne Hautes Cotes de Nuits Rouge Bec a Vent 2017

 

[2019] ブルゴーニュ オート コート ド ニュイ ルージュ ベック ア ヴァン ジャック カシュー

※リンク先はヴィンテージが異なります
 
このワインは、ブルゴーニュ中核エリアの北側、コート・ド・ニュイで作られたワインながら、格付けとしては下のほう、オート・コート・ド・ニュイ相当のワイン。メーカーはあまり注目していないジャック・カシュー、とりあえずブルゴーニュが飲みたくなったのであけてみた。色合いは暗く、本当にピノ・ノワールなのかと疑いたくなるほど暗い。でも香りは、黒系果実の香りに少し革っぽい香りが混じって、なるほどピノ・ノワールな感じがする。ローソクというか、アルコール系揮発臭も多め。
 
口に運んでみると、香りに比して酸味の溌剌とした、良い意味で予想を裏切られる雰囲気だった。口当たりがなめらかで、革っぽさと連続性のある苦みがあるのも好ましい。飲み進めるにつれて、香料っぽさが強まり、ブルゴーニュに期待すべきど真ん中かはさておき、濃くて香りの良いワインになってきた。平格ブルゴーニュ赤より、村名格より、品質の確かな……いや、そうじゃなくて、これはドミニクローランのつくるマルサネとかあのへんに似ているんだと思い出した。それか……カベルネフランだ。カベルネフラン単体の上等なワインから草餅みたいな和風風味を抜いたらたぶんこれに近くなる。
 
ラック・コーポレーションのウェブサイトによれば、ジャック・カシューのワインには「リッチな果実味を主体とするモダンな造りだが、各クリマの特徴を見事に引き出し、バランスはとてもよい。またベーシックなブルゴーニュブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイでもたっぷりとした味わいがし、高い満足度を得られる。」と書かれている。確かにたっぷりとした味わいがする。そうかもしれない。でも自分には、ちょっと濃すぎると感じられるかもしれない。
 

【2318】Piccini "BBQ" Toscana Rosso IGT 2019

 

 
このワインは、バーベキューの絵が描かれた、なんだか安そうなトスカーナ産赤ワイン。でもって実際安く、ピッチーニという作り手には思い入れがない。このワイン、セットについてきたけどどうしよう……と思っていた矢先、肉とうな丼というワインがたじろぐ選択肢が来たのでよっしゃバーベキュー赤ワインやってみよう! とあけたのであった。
 
見た目は、なんだか普通の赤ワイン。ピノ・ノワールほど薄くないけどカベルネメルロー主体のワインほど濃くない。で、香りは今回梅系の香りがいくらかするけど、少し閉じこもったところがあり、あまり開放的ではない。トスカーナのキアンティ系統のスミレ・軟膏系の香りもあまり伴っていない感じ。
 
口に運んでみる。すると、ジャブジャブとした気楽な赤ワイン成分なんだけど、梅系の酸っぱさを伴っていて、安いキアンティに比べるとワインが頑丈で、こんな価格帯にいうのもなんだけど、立体的でもある。安キアンティにしちゃあ骨格があり、梅系の酸っぱさが尾を引く感じが特徴的だ。香りを再確認するに、これはどう頑張ってもサンジョベーゼでは出なさそうだ。バーベキューという名称、ジャブジャブしているけれどもサンジョベーゼ単体ではないさま、そして梅香。これは……サンジョベーゼ主体、従がメルロー、隠し味にシラーを混ぜたブレンドワインではないか?
 
で、サイトを調べてみると大当たり! サンジョベーゼ50%、メルロー40%、シラー10%とある。やったね! ブレンドワインのブレンドをここまで当てきったのは初めてだ。そうなると、うな丼と一緒にいただくこのワインがなんだかますます気分良く飲めてしまう。バーベキューというだけあって、うな丼、肉料理とは仲良くしてくれている。食い合わせが良いんだな。終始楽しくいただいて、残りは明日へ。
 
※シラーっぽさが少し引っ込んで、というより全体的になだらかなワインになって飲みやすく、ちょっと普通になった。昨日のほうが尖っていて面白かったかもしれない。
 

【2317】Markus Molitor Riesling Mosel Zeltinger Sonnenuhr Auslese** Trocken 2017

マーカス・モリトール リースリング ツェルティンガー・ゾンネンウーアー アウスレーゼ ** トロッケン ホワイトカプセル
※リンク先はヴィンテージが異なります
  
このワインは、ドイツ白ワインの中核生産地域のひとつ、モーゼル地方のメーカー、マーカス・モリトールの作っているアウスレーゼ。ここはシュペートレーゼやアウスレーゼといった格付けに加えて、*の数やキャップの色までいろいろあって、とりあえずこれはまあまあの品だと思う。前々から寝かせていたのだけど、一度飲んでみたいと思って我慢がならず、とうとう抜栓することに。ちなみにどこかのサイトによれば、飲み頃は遥か向こうであるという。知るか。まだストックはある。
 
抜栓直後、色はかなり薄かったけれども、これを打っている間に少し山吹色っぽくなってきた。香りは……あまーい、ちょっとソーテルヌっぽいぐらいの甘口ワインの香り、ちょっとトロピカルかもで、コテーっとしてオイリーっとしたむっちりとした蜜と果物の予感がグラスに籠っている。いきなりヤバげだ。
 
口に運んでみると、一瞬甘く、そこからラムネっぽさがわーっと殺到してくる。このラムネはミネラル系か? ラムネ、それとソーダを強烈に連想する。芳香と豊かなミネラルの組み合わせはまだ噛み合っていないけれどもポテンシャルの高さは感じる。これ、いけているんじゃないだろうか。食事にあわせてみると、卵とじカツとは案外仲良くやってくれる(この場合、酸味が勝つ格好になる)。その後、舌ざわりにトロトロしたところや奈良漬けのようなにおいも出てきて、粗削りながら素養の高さを想像させる。これはいい。ストックはちゃんと寝かせよう。そして目覚める日までしっかりと働こう。
 
※翌日はキノコの香り。茶色いマッシュルームだ。リースリングとしては、この系統の香りがガンガン来るほう。トロピカルな香りはパッションフルーツ寄りなのだと途中で思いついた。その点も含め、面白い。これはストックを大事にとっておこう。
 

【2316】Feudi Di San Gregorio "Dubl" Falanghina Spumante (N.V.)

 
ドゥブル ファランギーナ スプマンテ NV フェウディ ディ サングレゴリオ
 
この品は、フェウディ・ディ・サングレゴリオが作っている知らないスパークリングワイン。品種はファランギーナとあり、たまたま2100円で売られているのを発見して即保護した。トスカニーだと4000円オーバーとなっている。フェウディ・ディ・サングレゴリオ、すっかり偉くなってしまったけれどもどんなワインを作っているんだろうか。
 
まず、フルート型グラスに注いでみる。きれいな薄金色をしていて、泡のたちのぼりは少し速い。じゃ、粘性度が低いのか? どうだろう、液面の泡はかなり豊か。香りは、フルートグラスを選択したせいか明確ではない。さっぱりとした、爽やか系のものではある。 
 
口に運ぶと、爽やかな酸味と一緒にかなりしっかりとした苦みが。シャンパン系統にある苦みよりも植物然としたオーガニックな苦み、馴染みの白ワイン品種でいえばヴェルメンティーノに近い苦みだ。口に運ぶとグリセリンがぐりぐり効いているらしく、なめらかでジューシーだ。酸味と苦みの隙間からオレンジのような甘味がしみ込んでくる。柑橘でも、夏みかんや八朔やグレープフルーツではなくオレンジである点に、このワインの良さ、または面白さを感じる。非ーシャンパン系の品種でつくられた、スプマンテであるこのワインでこれは結構面白い。ときにミルキーな口当たりでびっくりさせられたりする。なにこのスプマンテ、すごい丁寧につくられているぞ。これが4000円の値付けになっているのはわかるし、2100円は破格としかいいようがない。そこらの安シャンパーニュを完全に凌駕している。暑い季節に力強い味方だ。一日で飲むのはもったいないので翌日へ。
 
※二日目も炭酸ぷちぷちでおいしい。オレンジから、もう少し酸っぱいシトラスになったかも。でもうまい。良い品だと思う。
 

【2315】Lamura Rosso Terre Siciliane IGT 2020

 
【よりどり6本以上送料無料】 ラムーラ オーガニコ ロッソ ディ シチリア 2020
 
今日はずっと作業に追われていて午後8時ぐらいにはたとワインが欲しくなった。夕食も食べたし、つまみ今から用意するとしても少量だし。じゃあどうするか。……ということでいかにもイージーそうな在庫があったので引っ張ってきた。品種はネロ・ダヴォラ100%とのこと、じゃあいい加減に飲むにはぴったりだし何とやったってだいたい大丈夫だろう。
 
まず見た目。やや暗いワインレッドで、ネロ・ダヴォラにしては青紫っぽさが無い。わずかにレンガ色方面の色合いともみえる。香りは、梅干しみたいなすっぱそうな香りが来るんだけど、和菓子のニュアンス、それとバニラの気配がある。ということは樽香かな。価格帯からいって樽香っていうより樽チップ香かもしれないけれど。それと、いつもこのワインログで使うよりももう一段階線香っぽいというか、むしろ蚊取り線香みたいな香りが奥からやってくる。
 
口をつけると、酸味のしっかりした、甘さ控えめの硬派な内容。夕食の春巻きや鳥スープとは行儀良く付き合ってくれている。突出したネロ・ダヴォラではないとしてもデイリーとしては安定したおいしさ。文句いうべきものではなく、イタリア国内の競合であろうモンテプルチアーノ・ダブルッツォあたりと比べて云々すべきワインだろうなあと思う。
 
※翌日はより普通のワインに。蚊取り線香もバニラもいなくなった。

【2314】Albert Bichot (Domaine du Pavillon) Meursault Premier Cru Les Charmes 2007

 
ドメーヌ デュ パヴィヨン ムルソー プルミエ クリュ レ シャルム 2016 アルベール ビショー
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
続いてムルソー一級シャルム2007。比較的最近にコント・ラフォンのムルソー・シャルム2009を飲んで記憶に残っているうちの勝負なので楽しみなカード。
 
色ははっきりと黄金色をしていていかにもムルソー。で、香りは、はじめの瞬間、一部赤ワインにもあるような香料が来た。それこそひとつ前のボーヌ一級で瞬間的によぎったような。そのすぐ後、蜂蜜とクッキーと花畑、そして大理石の薫る素晴らしい香りがしてきた。ムルソー一級にありがちな定番展開ながら、もちろん悪い気はしない。
 
口に運ぶと、びっくりするほどリンゴ! 酸味全開のリンゴが来ましたぞ!なんだこれは? しかし首をかしげる間もなく、ミネラルというか、大理石というか、骨のある展開になり、ときには塩水みたいな風味がよぎる。ムルソーだからか、バターリンゴみたいな雰囲気を連想することも。コント・ラフォンのシャルムと比較すると、こちらは軽装備、あちらは重装備といった赴きがあり、こちらのほうがさっぱりとした構成になっている。じゃあ軽装備だから悪いかといったらそうでもなく、軽やかさ、爽やかさがあるこのワインもなかなかのものだ。それでいて両者の共通点もあるし、このワインをとおしてコント・ラフォンのムルソーシャルムの旨さもかえって理解できたところもあり、感心せずにいられなかった。これだから比較検討はやめられない。だいたい、両方のワインの持ち味がわかって、片方が一方的に優れているというより、両者の良さ、特質が明らかになる感じがして楽しい(そして自分のあたまが良くなったと錯覚できる)のだ。