北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2409】M.Chapoutier La Ciboise Luberon 2018

 
[2018] リュベロン ラ シボワーズ ルージュ 750ml シャプティエ
 
このワインは、シャプティエが作っているメゾンもののベーシックな赤ワイン。インターネットでおしゃべりしながら飲むワインとして、あまり会話の邪魔にならないものを選ぼうと思ってこれを選んだ。
 
まず見た目は黒々としていて、ただ香りはそれほど目立たない。味は苦みがしっかりしていて、それが酸味と結びついているタイプ。酸味が強いその遠く向こうに、ちょっとトマトスープが潜んでいるかもしれない。タンニンはあまりとげとげしくなく、口当たりはやさしい。噛みしめるに値する、旨い果実味があるのもいい。じっくりと果実味が味わえるのだ。ローヌの赤にしては飲みやすく、このような場面にちょうど良い品だった。 
 
※二日目。じっくりとした果実味は健在で、前日よりもどっしりと飲めるぐらいだ。二日目の姿もかなり美味い。価格帯を考えれば、ローヌ産の良質なデイリーワインとして推奨できるものだと思った。ドメーヌものでなくメゾンもの、量販品であることを思えば、うまくまとまっている。ローヌの大手は、みんな裾モノをまとめるのがめっちゃうまいと今回も思った。
 

【2408】Cono Sur Risesling Reserva Especial 2020

 
コノスル リースリング レゼルバ エスペシャル

※リンク先は現行ヴィンテージです。
 
急遽、グラスもソムリエナイフもない環境でワインが登板するかもしれない場面がやってきたため、スクリューキャップでコップでも香りが立ちやすいこのワインを選ぶことにした。やや単調なところはあるかもだけど、そういう場面では新世界のリースリングは使いやすいはず。
 
スクリューキャップをあけ、旅館のコップに注ぐ。見かけはそれほど濃くないレモン色、香りはとにかくすがすがしい、さわやか路線。花畑系の香りが中心。口をつけてみると、予想以上に甘みが少なめで、とにかくさわやか・酸味優先路線、辛口のリースリング然としていてうれしい。もっとえぐくて甘みの強い味かと思いきや、この品はコノスルの白ワインの割に細身で、さわやかに飲める。アウェーな環境でしっかり仕事を果たしてくれた感じだ。
 
※翌日、残った少しを和食に合わせる。まったく問題なし。驚嘆するようなワインじゃないけれども、役割はしっかり果たしてくれる。思ったほどくどくなかったのがとにかくありがたかった。
 

【2407】Ferrari Brut (N.V.)

 
フェッラーリ (フェラーリ) ブリュット (メトッド クラシコ) (ブラン ド ブラン)
 
テイクアウトのオードブルやお寿司が並ぶような、そんな日本の会合風の料理に似合うワインは何か? いろいろ候補があって、実はボジョレーヌーボーは結構お似合いだと思うけど、スパークリングワインもひとつの選択肢だと思う。今回は、そのなかでは上物であるイタリアスパークリングワイン、フェッラーリをあけることとなった。これより上は、もうシャンパーニュか、同じイタリアでもフランチャコルタになってしまう。
 
まず見た目。レモン色をしていて、想像していたよりは色が薄い。泡はかなりしっかりしたものがもこもこと沸いてくる。香りは、メレンゲのような甘くて淡いやつ、それとトースト系の香りに植物系の香り。この植物系は……なんだろう、ロンバルディア州でこの香りってシャルドネか? (あとで確認したところ、実際このワインはシャルドネでできていた様子)
 
口をつけると、意外に軽い。重たさや苦みを真正面からぶつけてくるのでなく、まずフレッシュな植物系の爽やかさがあって、重量感はそこまで前に出てきていない。漬物っぽい風味もあまり感じられず、シャンパーニュ互換としてはあまりらしくない。というより、これは豪華なスプマンテスプマンテのなかでは重量や苦みのバランスに優れた品って感じだ。だから南アフリカ産のシャンパーニュ互換品などに比べると「らしくない」反面、イタリアにあるあまたのスプマンテのなかではシャンパーニュ的なつくりという、そんな位置づけだと思った。美味いかっていったら、そりゃあ美味いですよ。どんどん飲めちゃう。飽きないし疲れないし。いいスパークリングワインだと思う。
 

【2406】Chateau Pesquie "Terrasses" Rouge 2018

 
シャトーペスキエ テラス ルージュ 2019
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
このワインは、ローヌの無名な土地を中心に頑張ってワインを作っているシャトー・ペスキエの標準的なクラスの赤。以前にもお買い得ワインとして2017年の品と対峙したことがあり、今回も割と楽しみ。
 
まず色。とにかく黒々としていて不透明、ちょっと赤茶けたニュアンスもある。香りは、香料が力強く香ってくる。どこか香水に通じるところもあって、前回のコメントに比べるとカッコつけていると感じる。もちろんけなしているわけでなく、これはこれで良い。
 
口に運ぶと、香りのシュッとした感じとは対照的に、おおらかで口当たり柔らかな、ふんわりとした第一印象で驚いた。それから数秒経過して、がっつりとしたタンニンと苦みが怒涛のように押し寄せてくる。おお、ナヨっているわけではなさそうだ。そしてじんわりと感じられる香水フレーバー。おお、香水かー。少し前に飲んだドメーヌ・ド・ペリリエールの赤ワインに比べると、こちらはバラっぽさがそこまで顕著ではなく、もう少しお線香寄り。それとトマトスープの風味はあまり連想せず、もっとフルーティーなイメージを抱く。じゃ、品種は何なんだろうと思って見に行ったらグルナッシュ60%シラー40%とある。いやしかし、これはやっぱりお買い得ワイン、少しカッコつけてる点も含めて、ローヌのワインのなかではお勧めしやすい品だと思う。
 
※翌日は香水フレーバーが少し薄くなり、ちょっと重たく、典型的なローヌのワインっぽくなった。これは初日のほうが魅力的だったと思う。
 

【2405】Etienne Sauzet Puligny-Montrachet 1er Cru Champ Gain 2016

 
[2020] Puligny-Montrachet 1er Cru Champ Gain【 エチェンヌ・ソゼ 】
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
あけましておめでとうございますですね。
 
このワインは、2年ほど前までは我が家の定番にしてブルゴーニュ白の主力として整備してきた、エチエンヌ・ソゼのピュリニーモンラッシェ一級の白ワイン、シャン・ガンでつくられた品。同じ畑からつくられたワインとしては2011年産と対峙したことがあり、2011というイマイチヴィンテージながら平格ブルゴーニュとの格の違いを見せてくれた。今回も、2016と言うイマイチヴィンテージ。イマイチヴィンテージなので飲んでしまうことにする。今回はイスラエルシャルドネの名手、ゴランハイツワイナリーのヤルデンがアグレッサー役をつとめてくれる。
 
抜栓すると、花畑のような芳香が周辺に広がって良さそうな予感。コルクの状態も悪くはない。そのままグラスへ。見た目は山吹色に近い色彩で、2011年のヴィンテージの時の、えらく透明な感じとはずいぶん違う。ヤルデンシャルドネと並べてみると、こちらのほうが僅かに色が薄く、僅かに緑色がかっていることが判明する。グラスから直接香りを確かめると、前回2011のシャン・ガンと同様に今回も軽い香りで、石系の予感はあるけれども、魅力いっぱいあけ広げという雰囲気は抜栓段階ではない。
 
で、口に運んでみると、細身で酸のしっかりした、涼しい酸の余韻がずっと続くやつが来た。ミネラル風味が豊かで、それは石灰岩系をメインとするヤルデンシャルドネとはだいぶ違った、ブルゴーニュに期待したい、ピュリニーモンラッシェに期待したい、でもシャブリやコルトンシャルルマーニュほどキツくなくて構わない、そういうやつだ。それが涼しい酸と一緒に集中力と構成をなしている。もうちょっと集中力が低くて構わないなら、これは、シャブリ一級や特級で代替できる気がするので、今後、この方向のワインを購入するならシャブリでやろうかななどと思ったりする。このワインを中途で休んで、ヤルデンのシャルドネを比較のために飲んでみると、集中力や気品でこちらが圧倒する。あれだけ美味かったヤルデンが、このシャン・ガンを前にするとがさつでえぐみのあるワインと感じられてしまうのだ。このシャン・ガンは、同じピュリニーモンラッシェ一級のほかの畑たちと比べてよりおしとやかで、より深窓の令嬢めいていると前から思っていたけれども、今回もそれが際立っている。これぞ、ピュリニーモンラッシェ! 値上がりしてしまって購入射程外になってしまったけれども、やっぱりこれ、買いたいかも。
 
※翌日もしゃんとしたワインのままだけど、ややフルーツっぽい風味に流れてしまったきらいはあったかも。でもまあうまいし、よくできている。
 

【2404】Galilee Galilaa Golan Heights Winery "Yarden" Chardonnay 2020

 
ゴランハイツワイナリー ヤルデン シャルドネ
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
このワインは、久しぶりのヤルデンシャルドネ、そのベースクラス。このヤルデンもインフレによってか、有名になりつつあるのか、値段が高くなりはじめてきた。このボトルも2000円台後半で手に入れたもの。それでもまだワインとしては信頼が持てるのでリピートしている。直近では、去年、2018年産と対峙している。今回は2020年産、コロナが来てからのワインだ。どうなっているんだろう。
 
まずコルクをぬくにあたって、これはくずコルク。DAIMってやつだろうか。抜栓した時に、クッキーのようなあまい香りがふわっとよぎった。グラスに注ぐと、レモン色よりは山吹色に近い、えらく堂々とした色調。こんなだったっけ? 香りは、クッキー系のものに、ちょっとフルーツポンチのような香りが混じっていて新世界風だ。
 
しかし口に運んでみると、やはりミネラルみがある。このワインの場合、そのミネラルは牡蠣貝や大理石をイメージさせるのでなく、石灰岩をイメージさせる。あるいはラムネか。そこにクッキーが、さらにバターが乗っかってリッチみがある。香りにもバターが乗っかって、コテコテとしている。ただ今回、ちょっと酸味が弱く、そのためワインのボディの大きさに対して腰がふらついているかもしれない。とはいえ、愛嬌の良いワインなのは間違いなく、おもてなし精神はさすが。
 
※翌日、エチエンヌ・ソゼのピュリニーモンラッシェ一級シャン・ガンとの比較のために飲んでみた。シャンガンの後に持ってくると、このワインのほうが集中力が散漫で果実味にえぐみが伴い、バニラの香りがわざとらしすぎると感じてしまう。そして今回のこのボトルにある、新世界風の雰囲気がより目立ってしまう。とはいえ、これは上位のブルゴーニュの赤白と3000円前後のコスパ良好のシャルドネピノ・ノワールを比較した時に起こりがちな現象で、単純にワインの格の違い、役割や方向性の違い、価格の違いを反映しているだけのことで、このワインの価値を棄損するものじゃない。逆に、おもてなし精神、捉えやすい個性といった点では、どこまでも奥ゆかしいシャン・ガンと違ってこちらはあけっぴろげでポジティブだ。
 
※三日目、引き続きシャン・ガンと比較しながら、こちらのほうが粗く重たいのだけど、なんかこれはこれでいいような気がしてきた。バターやクッキーが転じたのか、後味に、栗羊羹みたいな甘みが宿るようになってきたのだ。今まで、このワインはゴランハイツワイナリーの白ワインのなかでは軽量級の趣があったけれども、今回は(軽量級のきわみであるシャン・ガンとの比較のせいもあるかもだけど)重量級のシャルドネの趣があり、こってりとした印象を強く受けた。他方でそこらの新世界系シャルドネに比べると、石灰岩の風味とバター・クッキー・栗羊羹で差別化している。ぜんぜんいいと思う。