北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2393】Denis Carre Savigy-Les-Beaune Vieilles Vignes 2019

 
ドニ・キャレ サヴィニ・レ・ボーヌ・ルージュ ヴィエーユ・ヴィーニュ
 
このワインは、2022年の初春にも対峙記録のある、ドニ・キャレのつくるサヴィニ・レ・ボーヌ。当時は間違えて抜栓してしまい、にも関わらずえらく立派なワインで驚いた。
 
まずはコルク。うん、うまそうなにおいがしていい色をしているぞ。グラスに注ぐと、これぞブルゴーニュピノ・ノワールといった淡い色合い。新世界ピノ・ノワールとこいつの区別は……うーん、意外に難しいかもしれない。でも、最近のブルゴーニュ赤にもしばしばある暗すぎる感じではなく、かなり明るい色調だ。香りは、甘酸っぱい赤系果実のやつが惜しげもなくやってくる。雑な香りは入ってこない。ローソクの蝋を削ったような香りが伴うのが、自分的にはサヴィニ・レ・ボーヌの過去のワインたちを彷彿とさせるものがあり、色調もそれらに似ている。
 
口に運ぶと、コート・ド・ニュイのワインに比べると野性味があるかもだけど、魅力的な甘味が口のなかいっぱいに広がる。前回に経験した少し粘りのある感触は今回も健在、今ではプレステージワインになってしまった作り手のワインたちを連想させるものがある。他方、サヴィニ・レ・ボーヌらしい軽快さも健在、軽いタンニンと軽い飲み口、だけど口のなかの充実感はスカスカとはちっとも感じない。たぶん、12月上旬にプス・ドールのヴォルネ一級カイユレ2015を飲むことになるけど、あっちよりもこっちのほうが充実感があるのでは?と嫌な想像をしたりする。味と香りに森の下草のようなオーガニックな風味まで伴い、この畑名のワインとしてはとてもいい感じだ。へたな作り手の一級並みにいけているんじゃないか。ボトルの中頃になると、前回のような、シャトーヌフを連想させるような怪力的展開とまではいかなくても香料の香りがもうもうと立ち込めていて頼もしい。それでいて飲み心地の気持ち良さ、ワインの粘りの点でも優れている。2019でこんなに旨いってことは、逆に村名格としてこれでちょうどいいぐらいなのかもしれないが、とはいえ村名格でこれはとてもいい。このワイナリーのワイン、贔屓にしたいのだけどあまり数が見つからない。縁があったら保護しよう。
 
※二日目も、粘りのある安定した美味さで、香りも良い。あまり酸味によってがっかりに至らなかった。若飲みだからってのもあるのかな。ハッピーな内容だった。