北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1867】Southern Boundary Wines "The Springs" Riesling 2018

 
ザ スプリングス リースリング 2018 サザン バンダリー ワインズ
 
 このワインは、以前に飲んでみて思いのほか優れた挙動をみせていたニュージーランド産のリースリング。今回はリースリングを飲むのに適しているという触れ込みのリーデルグラスを用いて再挑戦してみることにした。
 
 まず、色をチェック。ほんのりと黄色がかった、最も標準的な白ワインの色をしている。香りは、台所洗剤系のやつが前回よりもはっきりと強烈に感じられる。これはリーデルグラスの力かもしれない。どこかパパイヤといった南国の果物を思わせるフレーバーが混じってもいる。
 
 で、口に運ぶとバナナ! いやー本当にバナナが来る。パパイヤは最初だけでバナナ優勢、なんだか飲み込む時の口当たりまでバナナっぽいかもしれない。リースリングでバナナは時々あるんだけど、これは本当にそれがはっきり感じられる。そのバナナの上部構造として爽やかでグリーンっぽい雰囲気の、酸のしゃんとしたすっきりとした飲み口が存在している。上顎にかけてバナナコーティングがかかる点を除けばシャープなエッジのきいたワインでもある。価格を考えればやはり優秀。
 
 ※翌日はバナナの気配が抜けて、ちょっと普通っぽいリースリングの姿になった。とはいえ、それでも合格ラインではある。
 
 

【1866】Mastroberardino Fiano di Avellino 2017

 
マストロベラルディーノ フィアーノ 2017
  
 最近、イタリア南部のカンパーニャ州の土着白ワイン群があんまりお買い得にみえないというか、微妙に価格が値上がりしていると思って敬遠していたんだけど、こいつはえらく値段が安くなっていて、見慣れないボトルにおさまっていた。メーカーは、カンパーニャ州では草分け的存在のマストロベラルディーノだけど、ボトルが見慣れないやつになっていて驚いた。
 
 まず、グラスに入れてみると薄くてすこーし緑色がかった、気泡の混じった白ワイン色。気泡? 私ゃ混じっていてもいいけれども、これに文句言う人もいそうな気はする。米ぬかみたいな匂いがぷんぷんしてきて、その奥から蜂蜜系の香りがしてくる(ちなみに、今回はブルゴーニュグラスを使ったので、それによる影響もあるやもしれない)。でもって、さらにヒヤシンス系の強い花の匂い、それと自分の鼻を疑うんだけど、スペイン産のガルナッチャあたりにありそうな線香系の香りと紙一重のようなパンチが来る。これってなんだろう?
 
 口に入れると、酸味がしっかりしていて、さっきのヒヤシンス系・線香系の香りが鼻腔~口腔をかけぬけていく。とても気持ち良い。あと、飲んだら急に腹が減ってきた。カンパーニャ州の、この品種にしては酸味のゴワつきというか、石灰岩-炭酸系のおしがきつくなくて、相対的に、いくらか上品なつくりになっている。気泡の影響でぷちぷちするかなと思ったけれども、それほどではない。カンパーニャ州の土着白ワインらしさを失うことなく、品の良さみたいなものが伴っていて良い感じだった。
 
 ※翌日も様子はあまり変わらなかった。飲みやすくて爽快感もある。
 

【1865】Grati Chianti Rufina Villa di Vetrice 2015

 
キャンティ ルフィナ ヴィッラ ディ ヴェトリチェ リゼルヴァ 2012 グラーティ
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 このワインは、キアンティ・ルフィーナ地区でお手頃なワインをつくっているグラーティのキアンティ・ルフィーナ。本家キアンティ・クラシコに比較的近い品質なのがルフィーナ地区で、ここのつくるリゼルヴァクラスはかなりのものだったので、割と期待しての抜栓。ちなみにリンク先では2500円以上するけど、購入時は1500円ぐらいで、よそで購入した。
 
 まず、グラスに注いでみると赤茶色がかった、意外に明るい色合い。香りは、濃いカカオ系の香りにイタリア赤ワイン、とりわけキアンティ系にありがちな膏薬系の香りが強く感じられて大変うまそう。香りだけでよだれがでてくる。前回、このメーカーのただのキアンティと対峙したときはザクロっぽい香りがあったけれども、今回はそれより濃厚路線だ。 
 
 口に含むと、ざらざらとした口当たり、ほっぺたいっぱいに膨らむちょっとビターな果実味。タンニンはさほどでもないけど、苦みがかなりあってワイン慣れしていない人は怯んでしまうかも。ビターだけでなくチョコレートっぽい粘性のある甘味を伴っていて、苦みも手伝って充実した口当たりをかたちづくっている。バターっぽい後味もあって、これだけでおなかが膨らみそうな塩梅。当然、ごはんにもよく合う。飲み進めてもイタリア膏薬風味、キアンティらしさはまったく衰えないし、コクがある。いいデイリーワインだと思う。
 
 ※二日目も、キアンティらしい膏薬系の香りが炸裂。ただのキアンティよりは風采に優れるも、そんなに気取ったワインではなく付き合いやすい。値段にみあった付き合い方でちょうど良いワイン。うんうん、キアンティ系はこんな感じでぜんぜん構わないと思う。
 

【1864】Cusumano Angimbe 2017

クズマーノ アンジンベ 2017
 
 暑くなってくるとイタリア白ワインが恋しくなる。で、こいつは暑いシチリアでつくられている、ちょっと良さそうな土着白ワイン(と思ったら、土着品種のインソリアが70%で30%はシャルドネとのこと)。
 
 まず色は黄金色に輝いていてびっくり。シチリアの白ワインにしては濃い。香りは、シチリア土着の白ワインにありがちな、石灰岩と花束の香り。とても、シチリアらしい。
 
 口に含むと酸味がしっかり。スカッシュのような爽やかさに、ほんのり蜂蜜のような甘さが伴っていて貧相ではない。なにより、このワインにはとろみと僅かにアヤメ系のいいフレーバーを伴っていて、石灰岩っぽいきつめの酸味が、意地悪する感じがないのが良くできている。飲む人をなごませるつくりになっていてパスタとの相性もバッチリ。適当に飲んで良し、たぶんじっくり飲んでも良さそうな良いワインだ。で、暑さと飲み心地の良さのせいでなんと丸ごと飲んでしまったが、二日酔いにもならず。おいしいワインだし、おいしいワインをぐびぐびやれてしまう季節だけど、おいしすぎるのも考え物。
 

【1863】Domaine Anne Gros Bourgogne Hautes Cotes de Nuits Rouge 2009

 
vinica.me
 
 アンヌ・グロという作り手のオート・コート・ド・ニュイ赤。で、こんなのどこにでも売ってるだろと思ったら楽天で引っかかるのはオート・コート・ド・ニュイ白ばかり。なんということでしょう。適当にゲットしたワインが実は入手が面倒……というのはワインの世界では往々にしてあることだけれど。
 
 まず、色合いはピノにしては青紫色っぽさがある。平格ブルゴーニュの赤でも、こういう青紫に近いカラーのものはあるけど、それらに比べると少し黒ずんでもいる。香りは、すごく桐箱。いや、桐箱を越えて杉っぽくすらある。それらが混じって線香を連想することもある。
 
 口に運ぶと、まさに杉と線香を伴ったしっかりとした口当たりのワイン。おお、なんか自己主張が強いぞ。これらが合わさって、少しよその地域のワインっぽい。というかボルドーに寄せたピノ・ノワールといった趣旨なのか。後半になると乳酸っぽさが伴うようになって、すごく主張しているけれどもどこかミルキー。好みではないし、自分がこれまで出会ってきたブルゴーニュの赤ワインの典型からは外れているけれども考えさせられるワインだった。こういう構成があるのか。まだまだわからない世界があるなー。
 

【1862】Christian Cholet-Pelletier Puligny-Montrachet 2015

 
ドメーヌ・クリスチャン・ショレ・ペルティエ ピュリニー・モンラッシェ [2015]
 
 このワインも、ウメムラさんの福袋に入っていたもの。ピュリニーモンラッシェの村名格というと、まあ大抵のシャルドネよりは高級とは言えるけれども、確実に高級なクオリティという保証も無い難しいゾーン。自分では買う勇気が無いゾーンなので、福袋のなかにでもなければ出会うことはなかったろう。そういう意味では福袋らしいワイン。 
 
 まず見た目。黄金色、というよりはちょっとグリーンがかった淡い白ワイン色。見てくれだけだと辛口リースリングと間違えそうな色をしている。香りは……なんと、植物系シャルドネが全開、すんごく爽やか、それだけでなく、ミネラル!ミネラルが来る。それも石灰岩みたいな亜流シャルドネのミネラルでなく、牡蠣の殻みたいな匂い。さりとて、シャブリのような癖の強い匂い(米ぬかとかレモンとか)ともまた違う。植物系シャルドネにほんのり蜜も宿っているからだ。
 
 口をつけると、やっぱり植物系シャルドネな味だ。あまりこってりコテコテしていなくて、さわやか中心、そこにほんのり蜜が宿るような。口のなかで転がすと牡蠣貝みたいなミネラルがこだまする。とにかくミネラル(石灰岩二酸化炭素系ではない、マジモンのミネラル)のしっかりしたシャルドネで、そういう部分で素性が良いと感じる。魅力いっぱいとはいかないにせよ、さわやか系のスマートなシャルドネとしてはうまくできているんじゃないだろうか。たぶん、こちらのカリフォルニアシャルドネとこのワインの長所を兼ね備えると、1.5流のメーカーがつくったムルソー一級やピュリニーモンラッシェ一級みたいな顔つきになるんじゃないだろうか、とか思った。
 
 ※二日目。すごくリンゴっぽい飲み物になった。ミネラルは少し控え目になり、なんだか「よくできた平格ブルゴーニュ」みたいな感じに。ピュリニーモンラッシェらしさを楽しむなら初日。ただ、二日目もこれはこれで旨い。旨いんだけど、このタイプの旨さは3000円ぐらいで実現してほしくもある。となれば、初日に飲んでしまったほうが吉なのかもしれない。